ロボットアニメ「J9シリーズ」三部作のテレビ放映が終了してから、早くも40年が経過したことになる。
同シリーズは世界観を共有しており、一作目『銀河旋風ブライガー』(1981年放送)、そしてその時代から600年後の世界を舞台とした二作目『銀河烈風バクシンガー』(1982年放送)、そこからさらに200年後が舞台の三作目『銀河疾風サスライガー』(1983年放送)と受け継がれていくのが目新しかった。
そして一作目の『ブライガー』のチーム名「コズモレンジャーJ9」から“J9”という名も、のちのシリーズの中に引き継がれることになる。
当時、ロボットアニメとは思えないアウトローな登場人物たちの粋なセリフや人物設定は斬新で、使用楽曲のどれもが耳に残るほどのパンチ力があった。
当時、そんな「J9シリーズ」を友だちと騒ぎながら観ていた筆者が、同作の魅力と思い出を振り返っていきたい。
■OPがカッコ良すぎた宇宙の始末屋…『銀河旋風ブライガー』
アニメ冒頭、イントロから流れる「ブライガー」のコールと、柴田秀勝さんによる小気味の良い口上ナレーション。そこから始まる主要キャラクターの登場シーンに目がクギづけになったオープニングの秀逸さは、『銀河疾風ブライガー』の魅力のひとつだ。
このオープニング映像の原画は独特のカメラワークで知られる金田伊功さんが担当し、今もなお多くのファンを魅了している。
同作は、宇宙開発時代を迎えた22世紀を舞台に、多額の報酬と引き換えに悪を成敗する宇宙の始末屋「コズモレンジャーJ9」の活躍を描いた物語。J9が悪党たちを闇に葬るという展開のため「SFアニメの必殺仕事人」とも呼ばれていた。
主要キャラクターは、木戸丈太郎こと“ブラスター・キッド”(声・塩沢兼人さん)のように、本名のほかに二つ名を持ち、これはのちのシリーズにも継承された。
また、J9のキャラクターは『ルパン三世』がモチーフになっているのもユニーク。主人公キッドがルパン三世、司令官アイザック・ゴドノフ(声・曽我部和恭さん)は石川五ェ門、スティーブン・ボウィー(声・森功至さん)は次元大介、マチコ・ヴァレンシア(声・麻上洋子さん)は峰不二子がモデルだった。
J9チームは、犯罪組織「ヌビア・コネクション」の首領カーメン・カーメンが企てた太陽系を改造しようという「大アトゥーム計画」を阻止するために尽力。かろうじて地球は救われるが、木星をはじめとする惑星は消滅し、新世界が誕生する。
そして最終回のナレーションでは、彼ら(J9)の意志を継ぐ者に活躍の舞台を譲ることが語られるなど、少々寂しい幕引きであった。
なお、搭乗ロボットは自動車サイズの「ブライサンダー」が、宇宙船「ブライスター」へと巨大変形し、さらに巨大ロボットの「ブライガー」になるという三段変形が特徴。作中に登場した「シンクロン原理」という謎の仕組みによって物質は増大し、原型の10倍にまで巨大化するというトンデモ設定もおもしろかった。
ちなみに『ブライガー』はロボットアニメにもかかわらず、ベッドシーンが描かれた作品としても知られる。筆者はこの衝撃回を母親がいるお茶の間で観てしまい、かなり気まずい思いをしたことが忘れられない。