2024年にHD-2Dグラフィックでリメイクされ注目を集めている『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(スクウェア・エニックス)。タイトル通り「伝説」となった1988年2月10日のファミコン版の発売日は、平日だったことから会社や学校を休んでソフトを買い求めるファンの姿がニュースで大々的に報道された。テレビゲームの発売がニュースになることなど前代未聞であり、当時小学生だった筆者も、驚きと興奮が抑えられなかったことを覚えている。
当時の『ドラクエ3』人気はすさまじく、ほかのゲームソフトと2本セットにされた「抱き合わせ販売」を行う店があったのを覚えている40代以上の読者も多いだろう。
『ドラクエ3』の定価は5900円。他のソフトも5000円前後が相場であり、小学生にとって一気に1万円が飛んでいくというのはとてつもなく痛かったが、お年玉も残っている時期だったし、仕方なく2本セットで購入した子どもたちも少なくなかったはずだ。
その「抱き合わせ」として筆者が購入したのが、1988年1月14日という『ドラクエ3』の少し前に発売されていた『コナミワイワイワールド』(コナミ 現:コナミデジタルエンタテインメント)。だが、「もう1本」として手に入れたこのソフトは、思いのほかめちゃくちゃ面白かった。
今となってはNintendo Switchなどでも配信されておらず、子どもたちはなかなかプレイする機会のない同作。ファミコン時代にコナミの魅力がふんだんに詰め込まれた『コナミワイワイワールド』の魅力を改めて振り返りたい。
■コナミのキャラが勢揃い、当時のコナミ人気がわかる1本
同作は、様々なステージで敵を倒しながら仲間を集めていくアクションゲームで、登場するのはこれまでのコナミゲームの主人公たち。敵に立ち向かうため、様々なヒーローが終結して戦う『アベンジャーズ』的なスタイルの胸熱ゲームなのである。
登場するキャラは『がんばれゴエモン!からくり道中』(1986年)のゴエモン、『悪魔城ドラキュラ』(1986年)のシモン、『グーニーズ』(1986年)のマイキー、『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』(1986年)のキングコング、『月風魔伝』(1987年)の月風魔といった当時のコナミの大ヒット作の主人公たち。
さらにはシューティングゲームの『グラディウス』(1986年)から仲間になるのは同作ステージに登場する敵の「モアイ」という、ちょっと笑える要素があるのもなかなかに面白かった。
いずれも各家庭に1本はあった人気ソフトばかりであり、これらの登場キャラを久々に操作して感じるのは、「ファミコン時代のコナミ作品はすさまじかった」ということだろう。登場キャラそれぞれが魅力的なのもさることながら、キャラごとに操作時のBGMが変わり、それらがオリジナル作のメインテーマとなっているのもファンの心をくすぐるものとなった。そしてそれらが名曲揃いでいつまででも聞いていられる飽きのこないメロディであることもポイントが高い。
「コナミの作品が、ゲームのBGMを音楽という芸術作品にまで高めた」というのはいささか言い過ぎかもしれないが、それぐらいコナミ作品のBGMには当時から魅力があった。