1967年に発売されて以来、長きにわたって愛され続けているタカラトミーのおもちゃ「リカちゃん人形」。
令和の今も高い人気を誇る人形おもちゃである一方、テレビアニメの放送や楽曲のリリース、「リカちゃんキャッスル」といった工場兼展示施設など幅広い事業を展開しており、話題は尽きない。中でも、革新的だったのが1968年に開設された「リカちゃんでんわ」だ。
言葉通り、リカちゃんと電話で話せるという少女心くすぐるこのサービスは、開始から56年経った今でも続いていることをご存知だろうか。今回は、「リカちゃんでんわ」の思い出を振り返ってみよう。
■ハイジ、コロスケの杉山さんが声を務めたリカちゃんでんわの歴史
「リカちゃんでんわ」がスタートしたのは、おもちゃの発売開始から1年後の1968年のこと。現在もタカラトミーのサイトでは電話番号が公開されており、「ばんごうをまちがえないようにね!」「おうちのひとに聞いてからおでんわしてね!」と案内されている。
開始当初は生身の人間が電話に出て対応し、リカちゃんに電話を代わるという形で録音を流していた時期もあったというが、1968年より最初から録音音声を流す形になっている。初期に利用していた少女たちは、「リカちゃんに電話を代わってもらう」というリアルなやり取りに胸を高まらせていたことだろう。
1968年から29年間にわたってリカちゃんの声を担当していたのは、『アルプスの少女ハイジ』のハイジ役や『キテレツ大百科』のコロ助役で知られる杉山佳寿子さん。その後、大野まりなさんが1999年まで2代目となり、1999年から現在までは星河舞さんが3代目として就任している。
筆者も子どもの頃に、親の目を盗んでこっそり電話をしたことがあった。初めての電話というのは子どもでもドキドキするものだが、リカちゃんの元気な声を聞いてホッとしたのを覚えている。
自分を含めて当時のユーザーは大人になり、次世代の子どもたちがリカちゃん人形で遊んで電話をかける。そうして繰り返しながら「リカちゃんでんわ」は息の長いコンテンツとなった。中には、ふと思い出し、電話をしてみたという大人もいるだろう。
■レア回も?遊び心満載でユーザーを飽きさせない会話の内容
WEBサイト『CHANTO web』に掲載されたタカラトミー広報担当者へのインタビューによると、「リカちゃんでんわ」のユーザーはリピーターが多いそうで、現在でも月に4万件もの電話があるという。
そういえば、筆者も初回の電話をして以来、毎月のように電話をかけていた思い出がある。我々のようなリピーターが毎月「また電話したい」と思えたのは、タカラトミーがいつでも新鮮な気持ちで楽しめるよう様々な工夫を凝らしていたからこそである。
基本的に、電話がつながるとリカちゃんが「もしもし私リカよ。お電話ありがとう!」と元気いっぱいに話し始め、日常の出来事を教えてくれる。友だちとお出かけしたりフランス旅行に行ったりと行動パターンも広く、生活を覗いているかのように感じるリアルさがあるのだ。
行動のほかにも流行、時事、季節に合わせて様々なテーマを取り入れており、リカちゃんの誕生月である5月には誕生日の話をしてくれることもあった。
さらに時間によって対応も変わり、朝は「おはよう」、昼は「こんにちは」、夜遅くなると早く寝るように言葉をかけてくれるリカちゃん。この会話バリエーションの広さも、タカラトミーが子どもたちのために行った努力のひとつだろう。
筆者は聞いたことがないが、中にはママである香山織江や双子の妹・ミキ&マキが電話に出ることもあるそうだ。レアという位置付けなので、聞けた人はラッキーかも?