■番狂わせが起こりにくくなった『ドラクエ4』の格闘場

 前作を受け、続く『ドラクエ4』でも格闘場が登場した。ただし、本作ではカジノのなかの1つのゲームという位置づけであり、カジノではほかにポーカーとスロットを楽しむことができた。また、ゴールドではなく、カジノでのみ使用できるコインを賭ける形に変更されており、よりギャンブル場の雰囲気が強くなっていた。

 『ドラクエ4』での格闘場は、『ドラクエ3』のような完全ランダムでの対戦ではなく、あらかじめ決められた対戦の組み合わせしか登場しなくなった。同じ組み合わせで何度も対戦させてみて出た結果をもとにオッズを設定したのか、オッズもかなり精度の高いものになっており、そのぶん番狂わせは起こりにくくなった。

 そのため、よく同じ対戦カードが出てくるのだが、なかでも特筆すべきは「おおめだま」2体と「スペクテット」2体による対戦だろう。オッズは4体とも約100倍。最初に見たときには目を疑ったものだ。

 実際にバトルに入ると、なんということはない。勝負がつかないのである。

 スペクテットは、アストロンという呪文を使用する。この呪文の効果は自分が全くダメージを受けなくなるかわりに、数ターン自分も攻撃できなくなるもので、格闘場では無駄にターンが過ぎるだけだ。モンスター格闘場では一定のターンが経過すると、時間切れで引き分けとなり、賭けたコインは返還されることになる。

 そんな、ただの引き分け試合を見せつけられるだけかと思いきや、筆者は1回だけ勝ちを経験したことがある。

 実は、おおめだまはHPが少なくなると、目の色を変えて「痛恨の一撃」を連発するようになる。これが運良く発動して勝てたのだ。

 筆者はふだんギャンブルをしない人間ではあるが、万馬券をとったときの気持ちというのはこういうものなのだろうか、と思わされた。

■スライムレースの前哨戦となった『ドラクエ5』の格闘場

 『ドラクエ5』でも前作と同じカジノのシステムが採用されている。ポーカーに代わってスライムレースが導入され、スライムがレースをするかわいい様子を見ることができた。

 そして、本作の格闘場であるが、仕様は前作とほぼ変わらず、ある程度決まった組み合わせの対戦である。

 だが、実は格闘場で1回プレイしたあとにスライムレースをプレイすると、レースのオッズが固定化され、特定の組み合わせが勝ちやすくなる裏技があった。この方法で、強力な「メタルキングのけん」を入手しようと、格闘場とスライムレース場を何往復もしたのは良き思い出である。

 

 今から思えばなんてことのないミニゲームであるが、考えてみればファミコンの時代から、本編の進行とは関係ないミニゲームがこれだけ楽しめたというのはすごいことだったのだと思う。

 とくにカオスな組み合わせと相まって『ドラクエ3』の格闘場は趣深いので、プレイできる環境がある人は久しぶりに楽しんでみてはいかがだろうか。

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