「対戦カードがありえない…」ファミコン版『ドラクエ』の「モンスター格闘場」がカオスすぎた思い出の画像
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』公式サイトより  (C)1988, 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved. (C)SUGIYAMA KOBO

 2024年11月14日、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』がHD-2Dグラフィックでリメイクされ、再び注目を集めている。

 同作では、冒険中に保護したモンスターを戦わせる「モンスター・バトルロード」が新要素として登場しているが、ファミコン版の『ドラクエ3』はシリーズ初のギャンブル要素「モンスター格闘場」が導入された作品でもあった。

 前作でもギャンブル要素のある楽しみとして「福引き」があったが、このモンスター格闘場は実際にゴールドを賭け、勝てば設定されたオッズに応じて払い戻しがされるという本格的な“ギャンブル”だった。

 なかには、冒険そっちのけでモンスター格闘場にのめり込んだプレイヤーもいたことだろう。だが、まだ『ドラクエ』にギャンブルが登場した黎明期ということもあり、システムに穴があったり、意外すぎるモンスターが登場してきたりなど、なかなかカオスな要素もあったように思う。ただ、シリーズを重ねることで、どんどん『ドラクエ』の魅力の1つになっていったこともまた事実だ。

 今回は、そんな『ドラクエ』シリーズにおけるモンスター格闘場の思い出について振り返ってみたい。

■かなりカオスだった『ドラクエ3』の格闘場

 格闘場は、同時期、同エリアで出現するモンスター同士の組み合わせになることが多く、強いモンスターは基本的にオッズが低めに設定されているなど、よくできた作りであった。

 だが、組み合わせはランダムだったため、場合によっては明らかに相手としておかしいモンスターとの対戦が組まれることもあった。

 たとえば「ひとくいばこ」。通常プレイでは「ピラミッド」で宝箱の罠として登場するモンスターだ。このころ出現するザコ敵の通常攻撃だとせいぜい10から20程度のダメージを受けるぐらいだったが、このひとくいばこは一撃で100前後のダメージを食らわせてくるので瞬殺されてしまう。

 そんなひとくいばこが格闘場に出てきたら、対戦相手もそのあたりで出会う敵と組まれてしまうことが多いため、勝敗は目に見えている。

 また、意外にも格闘場で強力だったモンスターに「ベビーサタン」がいる。通常プレイではイオナズン、ザラキ、メガンテといった強力な呪文を唱えてくるのだが、実はMPが“0”なので「MPがたりない!」と表示されるだけだから拍子抜けだ。

 だが、格闘場ではちょっと違う。イオナズンとメガンテは同じように「MPがたりない!」と表示されるだけだが、なぜかザラキだけ効いてしまうのだ。ザラキは一撃で敵の息の根を止めてしまうことができる呪文なので、これが効くということは勝ちやすく、番狂わせを起こしやすかった。

 ザラキだけはMPがなくても唱えられる理由は今もわからないのだが、その恩恵を受けて筆者がゴールドを稼げたことは事実だ。

 また、『3』の格闘場において、とくにカオスだったのが、中ボスクラスのモンスターの登場だ。

 格闘場に登場してくるモンスターは、パーティの先頭キャラのレベルに応じて決まるのだが、こちらのレベルが高くなると終盤に戦うモンスターも登場する。

 そのなかで、今でも忘れられない組み合わせは「バラモス対マントゴーア」である。

 マントゴーアはラストダンジョンであるゾーマの城に登場するモンスターである。だが、さすがに魔王に勝てるはずもなく、バラモスの圧勝で終わった。

 実はバラモスに限らず、「キングヒドラ」や「バラモスゾンビ」といった終盤のボスモンスターも格闘場に登場してくるのだから厄介だ。

 しかし、格闘場の運営者はバラモスをどうやって捕まえてきたのだろうか……。というか、格闘場の運営者がいれば勇者に頼らなくてもバラモスは倒せたのではないだろうか。

 『ドラクエ3』では、ランダムでのマッチアップだったからこそカオスな戦いが時々生まれ、それが実に面白かった。

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