■主演「オダギリジョー」の存在感

 主人公・五代雄介を演じたオダギリジョーさんは、テレビドラマ初主演ながら唯一無二の存在感があり、なんといってもカッコよかった。のちに“若手イケメン俳優の登竜門”と呼ばれるようになる平成仮面ライダーシリーズだが、その流れはオダギリさんから始まったといっても良い。

 オダギリさんの演じる五代は一見能天気で飄々としているが、強い意志と深い優しさをうちに秘めている、非常に魅力的な主人公であった。オダギリさんが醸し出す役者としての独特の魅力が、存分に生かされていたように思う。

 また、葛山信吾さん演じる若き刑事・一条薫との関係性も、観る者を熱くさせた。なかでもそれを象徴していたのが、第48話「空我」でのこと。最終決戦に向かう五代が、その一条に自身の結末を託す場面だ。

 その直後、五代は敵の首領との戦いに敗れ死ぬか、勝っても暴走して一条に射殺されるかという状況が待っていた。そんなシリアスな別れのシーンも、オダギリさんの飄々とした演技から五代の覚悟がより強く感じられ、印象的なシーンとなっていた。

 こうなるとオダギリさんの続編や後輩ライダーでの出演が気になるところだが、『クウガ』終了後、残念ながら『仮面ライダー』シリーズにはいっさい出演していない。

 だが、2022年公開の『大怪獣のあとしまつ』にオダギリさんが出演した際のインタビューにて、クウガ出演について応える場面があった。そこでは「俳優として、あの現場で育ててもらったところがありますね」「実にいいお仕事と巡り合えたと思っています」と、『クウガ』という作品に対する思いや、感謝の言葉を述べていた。

 いちファンとしては、主演オダギリジョー、映画『仮面ライダークウガ』という最高の舞台でのシリーズ復活を期待している。

 

 今回は『仮面ライダークウガ』の魅力をあらためて紹介してきた。多彩なフォームチェンジ、子ども番組ながら大人をも魅了するドラマ、主人公・五代を演じたオダギリジョーさんの存在感など、実に見どころのある作品だった。

 そして『仮面ライダークウガ』は、平成・令和ライダーの礎を築いた伝説的な作品となったのだ。

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