『源平討魔伝』に『アルゴスの戦士』、『ダブルドラゴン』も…本家と全然違うけど秀逸アレンジに驚嘆!ファミコン「アーケード移植」の“神作”の画像
ファミコン版『源平討魔伝』(ナムコ)タイトル画面 (C)1986 1988 NAMCO LTD.ALL RIGHTS RESERVED
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 80年から90年代にかけてゲームの最先端を走っていたのは、やはりアーケードゲームでした。グラフィックの美しさや迫力あるサウンドの素晴らしさは、家庭用ゲームと一線を画していたと言っても過言ではありません。

 そのアーケードゲームが家庭用ゲーム機である「ファミコン」に移植されるのも当然の流れではありましたが、当然そのまま忠実に移植するのは不可能であり、ファミコンの性能にあわせた内容に変更されるのが常でした。

 時にはオリジナル版とまったく違うゲーム内容になることもありましたが、ファミコン版ならではの面白さを実現したゲームもありました。今回は、そんな移植ソフトを振り返っていきましょう。

■ガチムチ戦士が少年に変更? ゲーム性が大きく変わった『アルゴスの戦士』

 1986年5月にアーケードゲームとしてリリースされた横スクロールアクションの傑作『アルゴスの戦士』(テクモ)。同作は『アルゴスの戦士 はちゃめちゃ大進撃』というタイトルになって、ファミコンに移植されました。

 アーケード版の主人公はマッチョな戦士として描かれていましたが、ファミコン版のパッケージでは可愛くデフォルメされた少年の姿に変貌。アーケード版のファンとしては、大きな違和感を覚えたのが第一印象でした。

 しかもファミコン版には、横スクロールだけでなく見下ろし型のステージが追加され、パラメータが成長するRPG的な要素も追加。敵を倒すことで腕力(攻撃力)と胸力(耐久力)がアップするので、時間をかければ誰でも先に進めるようにアレンジされています。

 こうしたキャラ育成に加え、各地に散らばる仙人からヒントやアイテムをもらってギミックに対応する内容は、アーケード版にはなかった新要素です。

 オーソドックスな横スクロールアクションだったアーケード版とは、ゲーム性自体まったく異なるファミコン版ですが、こちらもアクションRPGとして秀逸な作品でした。

 しかも『アルゴスの戦士』を象徴するグラフィックの美しさは、思った以上に高いレベルで再現。とくに多重スクロールで描かれる落陽のステージは、アーケード版にもひけを取らない美しさで表現されています。

■肘打ちが使えない? アレンジされつつも歯応えのあるアクションを実現した『ダブルドラゴン』

“ベルトスクロールアクションの雄”として知られるテクノスジャパンが開発を手がけ、1987年にリリースされた大ヒットアーケードゲーム『ダブルドラゴン』。同作のファミコン版は1988年に発売されました。

 アーケード版でリアル等身だったキャラクターは、ファミコン版ではデフォルメキャラに。さらにキャラクターが使える技は、敵を倒してレベルアップすることで解放されるというRPG的な要素が追加されています。

 そしてアーケード版には“肘打ち”という超強力な技があり、これを当てるだけでクリアできるほどの威力。それがファミコン版ではレベルアップしないと使うことができず、使い勝手まで悪化したこともあって、がっかりしたアーケード版のファンもいたはずです。

 しかし、ファミコン版では肘打ちに頼れない分、さまざまな技を使いこなす必要があり、そのことでアクションゲームとしての本質が一層楽しめます。強敵は投げて崖から落とすこともできますが、そればかりだと経験値が入らず、どのように倒すか悩むのもおもしろい部分でした。

 またアーケード版の醍醐味である2人同時プレイもできませんが、それを差し引いてもファミコン版『ダブルドラゴン』は遊びごたえのある秀逸な移植作品といえるでしょう。

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