野口五郎、生瀬勝久、竜雷太…名作ドラマ『ケイゾク』を彩った「強烈すぎる脇役」たちの“忘れられない怪演”の画像
中谷美紀  写真/ふたまん+編集部

 コメディとシリアスが入り混じった作風と斬新な演出が特徴的な、堤幸彦監督による刑事ドラマ『ケイゾク』。天才的な頭脳を持つ柴田純(中谷美紀さん)とぶっきらぼうながら優しい真山徹(渡部篤郎さん)という凸凹コンビの掛け合いが印象的な一方で、今作は脇を固めるキャラクターたちも個性豊かで魅力的な人物揃いだった。

 そこで今回は、『ケイゾク』を語るうえで欠かせない存在だった名脇役たちを振り返ってみよう。

■ほんわかさと鋭さのギャップが最高な竜雷太さん

 まずは、警視庁捜査一課弐係でクセ強な刑事たちをまとめていた、竜雷太さん演じる野々村光太郎係長だ。性格は温厚でノリが軽く、事なかれ主義。基本的には事件に首を突っ込まず、皆を見守っていた。

 その一方で責任感は強く、5話ではミスした柴田をかばい、参事官だった柴田の父の「責任は私がとる。君たちはひたすらに真実だけを追え。それが刑事だ」という言葉を柴田に贈っている。なんと頼れる上司なのだろうか。

 かつては、“ゴリゴリと真実に向かっていくゴリさん”と呼ばれる敏腕刑事だったこともあり(竜さんが出演していた『太陽にほえろ!』へのオマージュでもある)、物語後半では早乙女仁管理官への違和感から彼の中身が朝倉だと突き止めるという、現役時代を彷彿させる観察眼も見せた。

 かと思えば、女子高生の醍醐雅(永田杏奈さん)と不倫中で、恋愛観はぶっ飛んでいる。前述の柴田をかばった件の後も雅ちゃんに“よしよし”されており、隙あらばラブラブぶりを見せつけていた。60歳近くで女子高生と同じ温度の恋愛ができるとは、野々村係長恐るべしである。

 ちなみに、『ケイゾク』の10年後を舞台とする『SPEC』では妻と別れて雅ちゃんと再婚している。が、今度は婦警の正汽雅(有村架純さん)と不倫してしまう。そんな刑事としてのカッコよさと人としての緩さのギャップが魅力的に見えるのは、竜さんの演技力があってこそだろう。

■アクションシーンもキマっていた鈴木紗理奈さん

 弍係に配属されているのは柴田、真山、近藤昭男(徳井優さん)、谷口剛(長江英和さん)の4人だが、捜査一課一係所属の鈴木紗理奈さん演じる木戸彩は、5人目のメンバーといってもいいほどの頻度で弐係に顔を出していた。庶務なので捜査資料を運んだり勤怠チェックをしたりと弐係に行く理由はあるものの、行ったら行ったでサボるという自由な人物である。

 一方、新人の柴田に年下ながらアレコレと世話を焼いたり、休暇扱いで捜査に協力したりと、頼れる姉さん的な一面も見せていた彩。柴田も何かと「あやさ〜ん」と頼っており、二人の信頼関係は強かった。

 しかし、9話で特殊捜査班・SWEEPから真山監視のために送り込まれていたと判明し、これまでのコミカル路線から一変。刑事魂を胸に真山をかばうと、SWEEPに反旗を翻して弐係のサポートをする。その後、最終回で恋人だった斑目重友(村井克行さん)に撃たれてしまったものの、特別編で復活……のはずが劇場版で改めて死亡し、波乱に満ちた人生に幕を下ろした。

 やはり鈴木さんは、こういった気の強さと繊細さ、コミカルさを併せ持つキャラが似合う。ドラマ放送時は女優として活躍し始めたばかりだったが、ベテラン俳優に囲まれながらも強い個性を放っていた。

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