スーパーファミコン全盛期はそれこそ「RPG全盛期」と言ってよいほどで、多種多様なタイトルが多くの子どもたちを夢中にさせた。この頃になると複数のキャラが仲間になるというのはRPGの定番であり、その中から何人かをレギュラーにして、残りは2軍といった扱いになることも多かった。
主人公をはじめ、プレイヤーとともにイチから成長していったキャラほど思い入れが強くなってしまうのは当然で、後半にパーティ加入したキャラはどれだけ優秀なパラメーターを持っていたとしても、どうしても冷遇されがち。今回はそんなRPGの終盤に仲間になったがため、冷遇されてしまったキャラにスポットを当ててみたい。
■強かったはずなのにどうして?『ドラクエ6』のテリー
RPGの終盤に仲間になるキャラで、不遇の地位をぬぐえない例として挙げたくなるのが『ドラゴンクエストVI 幻の大地』(1995年、エニックス)のテリーだろう。
ストーリー中盤でドラゴンと戦い、圧倒的な強さで撃退するシーンをプレイヤーに見せつけ、それ以降も主人公たちが伝説の剣の噂を聞いて向かった先には常にテリーが先回りをしている。
テリーはただひたすら強さを求め、最強の剣を探し続けるというストイックなストーリーを持ったキャラで、クールな性格と、そしてなによりそのイケメンぶりから「絶対に強い」とプレイヤーにその存在感を印象付けた。
そのテリーは強さを求めるあまりボス敵・デュランに利用され、主人公たちの前に敵として立ちはだかることとなる。そして倒すことでテリーを仲間にできるのだが、その時点の彼のレベルは主人公たちと比べて低いうえ、主人公たちは転職を繰り返してそれぞれがいろんな技を身につけている。
おそらくほとんどのプレイヤーは、ハッサンや主人公を戦士・武闘家系に育て、ミレーユ、チャモロ、バーバラは魔法使い、僧侶系として育てているだろう。途中で仲間になるアモスも結構戦力になる。
それぞれのキャラに育成で苦労した思い出が詰まっており、はっきり言ってテリーは割って入れないのである。育てるために馬車に入れて連れて行ったとしても他のメンバーを追い越すほどの能力の伸びもないのが残念すぎる。
唯一役に立つのが、強力なブレス攻撃を持つドランゴを仲間にするためだけだというのがなんとも悲しい。
同作には、初期から強くて最後まで戦力になるキャラとしてハッサンがいる。ハッサンファンには申し訳ないが、ハッサンとテリーの登場時期と役割を逆にしていればもっとテリーも人気が出ていたかもしれないと思うのは筆者だけだろうか。
■超個性的なキャラ『ファイナルファンタジー6』ゴゴ
『ファイナルファンタジーVI』(1994年・スクウェア)も多くの個性的なキャラクターが仲間になる作品で、その中から4人をパーティメンバーとして選択してゲームを進めることになる。
中でもやはり人気が高いのは序盤で仲間になるティナ、ロック、エドガー、マッシュ、セリスあたりになり、多くのプレイヤーはこの5人あたりを中心にメンバーを組んでいたことだろう。
ものまね士・ゴゴが仲間になるのは、もういつでもラストダンジョンに乗り込めるぐらいの終盤であり、そこからレベルを上げようという気はなかなか起こらない。
しかし、ゴゴの持つ唯一無二の得意技「ものまね」は、魔法であろうがなんであろうが、直前に行動したキャラと全く同じ行動を使用することができる。しかもMPやアイテムも消費しないというチートっぷりだ。
だが、慣れたプレイヤーほどゴゴは使わないのではないだろうか。
このゲームは魔石というアイテムを装備することによって魔法を習得することができるのが最大の特徴なのだが、魔石を装備した状態でレベルアップすると、魔石の種類によって力や魔力などが上昇するという効果もある。つまり、初期からのメンバーはこの魔石を装備した状態でレベルアップさせているため、基礎的な能力が高くなっているのだ。
しかもゴゴは魔石を装備できない仕様になっているため、これまでのレギュラーキャラと比べると能力的に劣ってしまう。「ものまね」は使いようによっては役に立つのだが、やはりレギュラーを張るというところまではいかないだろう。
ちなみに前作『5』にも同名のキャラが登場しているが、そのときは水中に沈んだウォルスの塔の中におり、本作ではゾーンイーターというモンスターの体内にいる。なぜか知らないが変わった場所にいることを好む人物のようだ。