初代『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイは、“最強パイロット”との呼び声が高い。しかし歴代『ガンダム』シリーズには、アムロが活躍した宇宙世紀以外にも、ほかの世界観を持つ「アナザーガンダム」作品があり、そこにも優秀なパイロットたちが多く存在する。
そこで今回は、アムロを超える可能性を秘めた、アナザーガンダム最強パイロットを考察していきたい。
■最強候補筆頭!『機動戦士ガンダムSEED』キラ・ヤマト
まず1人目は『機動戦士ガンダムSEED』の主人公、キラ・ヤマトだ。
本作は、シリーズの放送開始が2002年と20年以上前ながら、最近でも『機動戦士ガンダムSEED REEDOM ZERO』の制作が決定するなど、アナザーガンダム屈指の人気作品である。そして、その主人公であるキラも、アナザーガンダムの最強パイロット候補の筆頭だ。
キラを最強とする一因は、“SEED”と呼ばれる優れた因子を持っていることだ。SEED発動の通称“種割れ”状態の彼は、空間把握と先読みの力、さらには運動神経や反射神経などが向上し、アムロなど宇宙世紀における“ニュータイプ”に匹敵する能力を見せる。
そのキラの“種割れ”状態のなかでも屈指の離れ業と言っていいのが、シン・アスカとの新旧主人公対決で見せた“アロンダイトの白刃取り”だ。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第42話「自由と正義と」にて、大型ビームソード・アロンダイトを振りかざして攻撃してくるシンのデスティニーガンダムに対して、キラは瞬時の判断でストライクフリーダムガンダムの両手にシールドを展開させ、白刃取りの要領でアロンダイトの攻撃を受け止めて見せた。
またキラは“不殺主義”としても有名だ。『SEED』の物語中盤以降、戦争を止めることが目的になったキラは、フリーダムガンダムのマルチロックオンシステムを使い、武器やメインカメラなど特定の部分だけを攻撃するようになる。要は、敵を殺すのではなく無力化することを優先するようになったのだ。
確かにこの芸当は、キラが乗るフリーダムのシステムのサポートによるところもあるように思える。だが『SEED DESTINY』39話「天空のキラ」では、急遽カガリから借りたマルチロックオンシステムのないストライクルージュに乗った際も、キラは数こそ少なかったものの同様の戦い方をしていた(もちろんカガリはそんな戦い方はできない)。
このことからも、この不殺という戦い方を成立させているのはキラ自身の能力の高さ、そして彼の信念によるところが大きいと考えられる。
“種割れ”状態での離れ業の数々、不殺を成立させる力量。間違いなくキラはアナザーガンダム最強パイロット候補の筆頭だ。
■近接戦闘では右に出るものなし!?『機動戦士ガンダム00』刹那・F・セイエイ
2人目は『機動戦士ガンダム00』の刹那・F・セイエイだ。
歴代シリーズ屈指の剣さばきを持っている刹那。1stシーズン第19話「絆」、ミハエル・トリニティが駆るガンダムスローネツヴァイとの戦いでは、複数展開されたツヴァイの遠隔操作が可能な移動ビーム砲“GNファング”を、刹那は投げナイフと短剣でさばいている。
さらに、2ndシーズン第22話「未来のために」で、ミスター・ブシドーことグラハム・エーカーのスサノオ戦では、「斬り捨て御免!」と斬りかかってきたスサノオの強化サーベルを、先に紹介したキラ同様、見事白刃取りして見せた。
またこのグラハム戦で、刹那はダブルオーライザーのツインドライヴシステムの影響により、進化した人類“イノベイター”へと覚醒し、情報処理速度や身体能力が大幅に向上。それにより、続く第23話「命の華」では、ルイス・ハレヴィのレグナントのGNファングも、さらに洗練された機体操縦と剣さばきで対処している。
『ガンダム』シリーズには、本作のGNファングのようなファンネル系の武器は多いが、ここまで鮮やかに剣でさばききったパイロットはほかにいただろうか。近接戦闘の凄さを考えると、刹那も最強パイロット候補の一人だと言えるだろう。