■カリスマ性にゾクリ…『るろうに剣心』志々雄真実

 最後は和月伸宏さんによる『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー』の映画版の志々雄真実だ。志々雄といえば剣心の宿敵で圧倒的な強さを持つ。全身火傷の後遺症で15分以内しか動くことができないという制約があるのだが、活動制限が無ければひょっとしたら剣心に勝っていたかもしれないキャラである。

 志々雄は全身を包帯で覆っているので、顔がほとんど見えない。そのためパッと見ではどの俳優が演技をしているのか分からないほどだ。

 しかし、藤原さんは声や仕草だけで十分志々雄らしさを表現して存在感を出している。弱肉強食を掲げる志々雄の荒々しさがセリフの発声からも感じられ、カリスマ的悪役の迫力が存分に伝わってきた。

 何よりも凄いのが戦闘シーンで、素早い動きに加え、志々雄のオリジナルである炎を使った剣術は大迫力である。

 特に圧巻だったのが、佐之助、斎藤、蒼紫、剣心を同時に相手にするシーンだ。息つく間もない展開で、藤原さんが剣心を演じる佐藤健さんたちを倒していく様は、敵ながら心を奪われてしまう……。

 炎に焼かれながら高笑いする最期も、恐ろしさや不気味さだけでなく潔さも感じられて良かった。ほとんど顔が見えずともぐっと惹きつけられてしまったのは、藤原さんが顔だけでなく声や立ち居振る舞いからも「志々雄らしさ」を醸し出していたからこそだろう。

 

 藤原さんは実写化作品にも出演することが多く、キャラの魅力を存分に引き出すような演技をしている。感情の使い分けや二枚目にも三枚目にもなれる演技の幅の広さ、そういったところから様々なキャラを演じることができるのではないだろうか。

 今後、藤原さんが実写化作品でどんな活躍を見せてくれるかも楽しみだ。

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