“機械砦”や“エルアラメイン”でも…わずか10分の滞在時間でドラマありすぎ!? 『銀河鉄道999』停車時間が短すぎる駅で起こった「衝撃エピソード」の画像
銀河鉄道999 [Blu-ray](東映アニメーション・東映ビデオ)/(C)松本零士・東映アニメーション

 松本零士さんの『銀河鉄道999』は、主人公の少年・星野鉄郎と、謎の美女・メーテルが銀河鉄道999号に乗り、数々の星々で多くの出会いや冒険をするストーリーだ。驚きと感動に満ちたその冒険は、令和になった今でも私たちに多くの学びを与えてくれる。

 ところで、鉄郎たちが星に立ち寄る時には制限時間がある。多くの場合は24時間程度の停車時間なのだが、星によってはたった10分程度しか立ち寄れないケースもある。

 今回は『銀河鉄道999』の数あるストーリーから、停車時間がとても短かった星とそこでの冒険エピソードを紹介したい。

■人間の尊厳とはいったい…「機械砦」停車時間15分30秒

 コミックス13巻「絶対機械圏」で登場する“機械砦”での停車時間は、なんとわずか「15分30秒」である。

 この星は機械人間だけのためにある世界であり、生身の人間はどうでもいいとされる星であった。危険だから列車から降りないよう言われていた鉄郎だが、到着した途端、鉄郎は機械人間からオイルを被せられ、憤慨して列車から降りてしまう。

 その後落とし穴から下水道にたどり着いた鉄郎。そこには機械人間によって処刑された生身の人間の母親と幼い子どもがいた。

 そのころ、メーテルは鉄郎を心配し救出に向かっていた。しかし“いかなる理由があっても発車時間の変更はできない”という規則にのっとり、無情にも999号は2人を置いて発車してしまう。

 その後メーテルによって鉄郎と親子は救出されるのだが、しかし親子は“機械人間に魂を売るよりかはマシだ”といって地下牢に戻ろうとし、その途中、射殺されてしまうのであった。

 本来であれば、鉄郎は列車内で15分30秒間、何事もなく過ごすはずであった。しかし生身の人間への尊厳が存在しない星で機械人間の策略に巻き込まれた挙げ句、人間の親子が処刑される様子を目の当たりにすることとなるのだ。

 その後、無事に999号に乗車することができたものの、ここでの出来事は鉄郎の心に大きな衝撃を与えることとなる。機械の体になることの意味について、深く考えさせられたエピソードであった。

■貧しさは機械人間にも影響する…暗黒星「メフィスト」停車時間10分

 「暗黒星メフィストの黒騎士」にて登場する“メフィスト”という星での停車時間は、上述した“機械砦”より短い「10分」だ。

 この星は黒騎士が所有権を主張していることから、別名“黒騎士の星”とも呼ばれていた。降りれば黒騎士がだまっていないということで、10分の停車時間をビュッフェで過ごそうと提案するメーテル。

 しかしうっかりドアを開けてしまった鉄郎に黒騎士が襲い掛かり、助けようとしたメーテルは黒騎士の攻撃により貫かれてしまう。怒った鉄郎は戦士の銃で黒騎士を撃つが、ここで現れたのはブリキの缶などでできた、みすぼらしい姿をした黒騎士の本当の姿であった。

 黒騎士は機械人間になるため努力したもののお金がなく、安物の体を買い足したり、人の部品を盗んだりして組み立てた結果、この姿になってしまったのだという。

 しかしこんな姿を他人に見られることを嫌い、“ヤミ屋”からこの暗黒星を買ったが、政府などからは認められない。だが、お金を支払ったのは事実のため、黒騎士は“この星は自分のものだ”と言い張り、この暗い惑星で1人孤独な生活を送っていたのだ。

 最後は鉄郎の攻撃により息絶えた黒騎士。そんな彼を哀れに思った鉄郎は、この星は“惑星メフィスト”ではなく「この星はあの男の星だ!! 黒騎士の星だ!!」と叫ぶのであった。

 わずか10分の停車時間で、機械人間であってもお金がなければ苦節することを学んだこのエピソード。極貧生活のなかで育った鉄郎にとって、この黒騎士との出会いは人生観を揺さぶるほどの衝撃をもたらしたに違いない。

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