■恐ろしい地球の将来…!?「エルアラメイン」停車時間10分
最後に紹介するのは「エルアラメインの歌声」に登場する停車駅“エルアラメイン”だ。この星の停車時間も、わずか「10分」。
この星に住んでいた先住民族は、すでに戦争で滅亡していた。しかし戦車などの兵器の残骸は残っており、人間の生体反応を感知すると攻撃してくるという恐ろしい星だった。
そんなことを知らずにこの星に降りてしまった鉄郎とメーテル。1台の生き残った戦闘コンピュータが動き出し2人を狙うと、連鎖反応ですべての兵器が2人を狙撃しようとし、囲まれてしまった。
そこでメーテルは、銃で鉄郎と自らを撃ちぬいて仮死状態にして生命反応をなくす。そして最終的に車掌が2人を列車内に運び、難を逃れたのである。
エルアラメインの星では、人間が存在する限り戦闘コンピュータが作動し、攻撃が続く仕組みになっている。逆に人間がいなくなれば初めて戦争が終わり、永遠の眠りにつくという星なのだ。この設定は、今もなお戦争が続く地球の未来を暗示しているようにも思える。
わずか10分の停車時間で描かれたこのエピソードは、人類が戦争を繰り返す限り終わらない悲劇を象徴しており、背筋が凍るような恐ろしさがある。
今回紹介した停車時間が短い星は、いずれもわずか10分程度の停車時間でありながらも内容は非常に重かった。人間の尊厳を問うエピソード、貧富の差が生み出す悲劇、そして人が存在する限り戦争が続く現状……など、どれも現代の私たちにも強く響くテーマを含んでいる。
停車時間の短さにかかわらず、それぞれの星で学ぶことは多く教訓がある。それは私たちの人生においても同じであり、どんなに短い時間や些細な出来事であっても、学びや気づきはいつでも得られるということを示してくれているような気がしてならない。