任天堂の国民的人気ゲーム『ポケットモンスター』シリーズ。そのなかでも、知る人ぞ知る名作『ポケットモンスター ピカチュウ』をご存じだろうか。
『ポケットモンスター 赤・緑』から2年後の1998年に発売された本作は、アニメ版『ポケットモンスター』をモチーフとしており、その再現度の高さがウリだ。アニメ版の相棒であるピカチュウを連れ歩けたり、ロケット団のムサシとコジロウが登場したりもするので、当時アニメにハマっていた少年少女は大喜びした。
しかし、本作の素晴らしさはアニメ再現だけではない。実は『赤・緑』の反省をもとに改善されたポイントも多く、“初代ポケモンの完全版”との声もある名作なのだ。
今回は『ピカチュウ』版が『赤・緑』からいかに進化していたかを振り返ってみたい。
■ヒトカゲもフシギダネもゼニガメもゲットだぜ! 「御三家」を簡単に揃えられる
『ピカチュウ』版の魅力を語るうえで外せないのが、いわゆる「御三家ポケモン」が確実にもらえたことだろう。
前作『赤・緑』ではオーキド博士からヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネのうち1匹をもらって冒険を始めるわけだが、選ばなかった2匹は登場しない。「御三家勢ぞろいパーティ」は、あの頃の全ポケモントレーナーの夢といっても過言ではないだろう。
そんな夢を誰でも叶えられるのが『ピカチュウ』版だ。ヒトカゲとフシギダネはハナダシティ、ゼニガメはクチバシティでそれぞれNPCからもらえた。これもアニメ再現の一環と思われるが、手に入れる経緯がアニメとは異なり、ゲーム独自のものに改変されている。
ハナダシティでフシギダネを譲ってくれるNPCを見つけた瞬間の嬉しさときたら! 「ヒトカゲやゼニガメもどこかにいるんじゃないか!?」と、テンションもうなぎ上りだった。
比較的序盤に手に入る御三家をそのまま育て、「リザードン・カメックス・フシギバナ」の夢のトリオで四天王に挑んだ人も多いのではないだろうか。少なくとも筆者はそうだった。
■タケシ戦が余裕に! 詰みポイント対策を豊富に用意
『赤・緑』は序盤が難しく、なかなか進めないプレイヤーが少なからずいた。ニビジムリーダーのタケシやハナダジムリーダーのカスミは有名な難所で、とくにほのおタイプであるヒトカゲを選んだ人の苦戦は必至。なかなかダメージが通らないイワークや、スターミーの「バブルこうせん」に頭を悩ませたのではないだろうか。
そんな序盤の難所が緩和されたのも『ピカチュウ』版の特徴だ。トキワシティ近くの草むらでかくとうタイプのマンキーが出てきたり、バタフリーがレベル10でエスパータイプの技「ねんりき」を覚えたりと、岩タイプのタケシ対策がかなり充実していた。
カスミの水ポケモンは、相棒のピカチュウで弱点を攻められる。しかも本作のピカチュウはレベルアップで強力な電気技「10まんボルト」を覚えるため、そこまで育てれば楽に乗り越えられた。
こんな具合で本作では、『赤・緑』で理不尽なぐらい難しかったボスが楽に攻略できるよう調整されていたように思う。筆者も『赤・緑』でヒトカゲを選んで苦戦した経験があったので、『ピカチュウ』版でマンキーが出てきたときは感動したものだ。