今年28周年を迎えた国民的ゲーム『ポケットモンスター』シリーズの歴史は、ポケモン対戦の歴史といっても過言ではない。新作が出るたびに入れ替わる最強クラスのポケモン、そして変化に応じて新たな戦術を構築するポケモントレーナーの奮闘は、初代『ポケットモンスター 赤・緑』から変わらないものだ。
そこで今回は、初期のポケモン対戦に焦点を当て、とくに強かったポケモンを振り返っていこう。あの頃を知る人は懐かしみながら、知らない人は「あのポケモンがそんなに強かったの!?」と驚きながら読んでいただけたら幸いだ。
■公式大会禁止といえばコイツだった! 『赤・緑』ケンタロス
ポケモンの元祖『赤・緑』で対戦最強のポケモンと聞かれれば、当時を知る人は“あばれうしポケモン”の「ケンタロス」を挙げるだろう。当時の公式全国大会では、ほぼ全員の出場者のパーティにケンタロスが組み込まれており、1999年開催の『ニンテンドウカップ’99』では、ついに使用を禁止された。
ケンタロスの武器は、高いすばやさから繰り出される「のしかかり」や「はかいこうせん」などのタイプ一致技だ。とくに当時の「はかいこうせん」はトドメを刺すと反動が無効化される仕様だったため、ケンタロスは事実上ノーリスクで使えたのも大きい。
さらに「ふぶき」「じしん」「10まんボルト」と幅広いタイプの技を覚えるため、タイプ相性で対策するのも困難だ。鍛え抜かれたケンタロスが全抜き(対戦相手のポケモンをすべて倒すこと)して勝利する……なんて展開は『赤・緑』の対戦では日常茶飯事であった。
次回作の『ポケットモンスター 金・銀』発売まで、豪快すぎる大暴れを続けたケンタロス。文句なしの「初代最強ポケモン」だろう。
■対策は「自分も使う」だけ? 「金・銀」カビゴン
2作目『ポケットモンスター 金・銀』では、持ち物の追加や特殊ステータスの調整などの大きな仕様変更が加えられた。そのなかで頭角を現したのは『赤・緑』から登場している“いねむりポケモン”の「カビゴン」だ。
『赤・緑』では道路に居座ってプレイヤーを邪魔していたカビゴンだが、『金・銀』では対戦でプレイヤーに立ちはだかる壁となった。
まず、非常に高いHPと、弱点がひとつしかないノーマルタイプによる耐久力がすごい。HPが全快する「ねむる」や攻撃と防御を上げる「のろい」を覚えたカビゴンは難攻不落で、出てきただけでどう突破すればいいかと頭を悩ませた。
攻撃面でも隙はない。眠りながら攻撃できる「ねごと」やHPと引き換えに攻撃力を最大まで引き上げる「はらだいこ」がとても強く、なかには相打ち上等の「じばく」を使うタイプもいた。一刻も早く倒さないとパーティが全滅してしまうが、それができれば苦労はしない。もはや壁どころか要塞である。
ただ、そんなカビゴンの対策は単純だった。「こちらもカビゴンを使う」冗談みたいな話だが、本当にこれしかない。どうか『赤・緑』のように眠ったままおとなしくしていてほしい……あの頃のカビゴンは、そう願われるポケモンだった。