■虹の橋を架ける「にじのしずく」と父の健在を知って驚いたオルテガの戦闘シーン

 ラスボスであるゾーマの城を目指すには、リムルダールから虹の橋を架けないとならない。そのためには『ドラクエ1』と同じく「にじのしずく」が必要だった。

 この「にじのしずく」は、「あまぐものつえ」と「たいようのいし」、「せいなるまもり」を集め、「せいなるほこら」へ行くと入手できる。

 そして、いよいよリムルダールの西にある岬で「にじのしずく」を使うと、グラフィックが7色に美しく変化し輝き、橋が架かる。これは当時のファミコンならではの美しさといえるだろう。派手な演出に心が躍った。『ドラクエ1』のときも感動したが、本作でもこれでラストバトルに突入するのかと感慨深くなったものである。

 また、ゾーマの城では主人公の父・オルテガの雄姿を見ることができた。生きていることはラダトームの城で判明していたし、「もしかしてどこかで出会えるのかも?」と期待していたので嬉しかった。

 だが、オルテガはキングヒドラの猛攻に力尽き、かたわらにいる主人公に対して「へいわな せかいに できなかった この ちちを ゆるしてくれ……とな」と、アリアハンに住む息子へ伝えてほしいと語る。

 もはや主人公が自身の息子であることがわからないほど、息も絶え絶えだったのだ……。オルテガのビジュアルはさんざんネタにされてきた「カンダタ」と同じ覆面マスクのパンツ男だったが……それでも、世界の平和を目指したオルテガってすごいと感動したものである。

 タイトル画面も英文字だけだったりと、容量がギリギリだったファミコン版。このビジュアルも仕方なかったのかもしれないが、ぜひともHD-2D版では、よりカッコ良く感動的に仕上がっていることを期待したい。

 

 『ドラクエ3』ではさまざまなイベントがあって、そのたび興奮し、楽しませてもらった。ここで挙げた以外にもオリビアの岬やノアニールの村など、グラフィックが進化したHD-2D版でどのように展開されるのかが楽しみなシーンはいくつもある。

 そういえば、アッサラームの町の夜には“ぱふぱふ娘”が登場していたが、今回のHD-2D版でどんなふうに描かれるのか、ひそかに期待してしまう人も多そうだ……。

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