張りつめていた小野さんにかけられた温かい言葉
――おお、先輩に気づかれてしまった?
小野 先輩が「すごくよく頑張っているのは、みんなわかってるから」「そんなにオレが、オレが、とならなくても大丈夫だよ」って優しく声をかけてくれたんです。
作品のなかには自分の役の「立ち位置」がある。シーンごとに、誰を立てるべきなのか、それにあわせて自分がどういう立ち回りをしなくてはいけないのか役割があるんだよ、と。頑張っていることを見ている人は絶対にいるから、自分が自分がとやらなくても大丈夫だから、と言ってくれたんです。
――それはすごい。
小野 たぶん、いろいろなフラストレーションが溜まっていた時期だったんでしょうね。その自分の気持ちをわかってくれたということと、頑張りを見てくれていたんだという嬉しさと、そう思われていたんだという恥ずかしさが混ざって、そのあとずっと大号泣してしまったんです……。
――号泣してしまったんですか。
小野 でも、そのときから考え方が変わりましたね。役者としての考え方も変わりましたし、作品の中における自分の立ち位置をすごく考えるようになりました。自分のやるべきことがわかった、というか。
――先輩は、ずっと小野さんを客観的な立ち位置から見ていたからこそ、気持ちがわかったんでしょうね。
小野 おかげで肩の力がスッと抜けましたね。まあ、尖っている部分や負けず嫌いの部分は、そのあともしばらく残っているんですけど(笑)。