■まさかの凶器にびっくり!「ブラジャーのワイヤー」
最後に紹介する凶器はかなり意外といえる。それが21巻収録「空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件」で使用されたブラジャーのワイヤーだ。
被害者は後頭部に小さな穴が空いており、アイスピックのような尖った武器で刺されて殺されたと思われた。事件の現場は空飛ぶ飛行機の中、隠し場所はそれほどない……はずなのだが、いくら機内を探しても手荷物を調べても凶器らしきものは出てこない。そんななか新一は、ブラジャーのワイヤーが凶器に使われたことに気づく。
犯人はブラジャーのワイヤーの先端を尖らせ、全体重を乗せて頚髄を狙うことで被害者を殺害した。しかも犯行後、そのワイヤーを再びもとの場所、つまり自身が身に着けているブラジャーの中に隠したのだ。
新一は犯人が手荷物を取る際に手を伸ばした時の不自然な動きから、凶器に使ったワイヤーが肌を刺激しているのではないか?と見抜いていたという。少しの違和感も見逃さない鋭い観察眼、さすが名探偵である……。
今回紹介した犯行の凶器は、一見凶器になるとも思えない、日常で使用するものばかりだ。長く連載されているからこそいろいろなものが出てくるのだろうが、作者のアイデアの豊富さにはびっくりである。