■コナンが新一に戻るレア回の一つ!『殺人犯、工藤新一』

 久々登場の新一が殺人未遂容疑をかけられる「殺人犯、工藤新一」「新一の正体に蘭の涙」は、2009年に1時間SP2回にわけて放送された。

 ある日、服部平次と新一のもとに、屋田誠人から「工藤新一が日原村長夫婦殺人事件でおかした推理ミスを見つけた、新一と話したい」という手紙が届く。これは東奥穂村の村長夫婦が殺され金品が奪われた事件のことで、新一は当時、強盗ではなく「癌で自暴自棄になった村長が起こした無理心中」と推理していた。だが村長を信頼する村人はこれを信じていなかった。

 平次とコナンらは村に向かい、手紙の指示に従って山小屋に行ったコナンが何者かに閉じ込められてしまう。さらに最悪なことに、コナンの飲んだ風邪薬が灰原哀の作った幼児化の解毒剤だったため、発作が起きてしまった。

 そして、皆の前に記憶喪失の新一が現れ、1年前の事件の詳細を知っている新聞記者を刺すという衝撃的な出来事が起こる。状況証拠もあり容疑は固いが、引っかかるものがあった平次は真相を追う。

 山小屋を発見した平次は、ナイフの刺さった新一の写真、割れた鏡、工藤新一を名乗る人物が救急車を呼んだという情報などから、今いるのは新一の偽物だと閃く。密かに凶器の指紋と新一の指紋を照合してもらうと、案の定一致しなかった。

 皆を集めて偽新一を詰めたその時、ついに本物の新一が現れ真相を語りだす。この真相が衝撃的で、なんと偽新一の正体は整形で新一になった誠人だった。動機は例の推理結果への恨みで、割れた鏡は顔を見ないため、記者を刺したのは自分に気づかれたからと思ったためだった。

 が、新一の推理は間違っていなかった。当時。“全員O型”として生きていた村長一家。だが、血液検査で村長はAB型だと判明する。となると本来O型の子は生まれない。怒り狂った村長は妻を殺し、強盗殺人に見せかけ自殺したのだ。

 誠人だけは真実を知らされていたが、ショックで耳に入っていなかったというオチなのだが、勘違いから犯罪者になった誠人に切なくなるエピソードだ。

 どのエピソードも、彼らが犯人で間違いないと言われてしまうような厳しい状況で起こった事件だ。しかし、周囲の仲間が些細な違和感を突き詰めて真相を導き出してくれる展開にはグッとくる。

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