毛利小五郎、怪盗キッドに工藤新一も…どう乗り越えた?『名探偵コナン』メインキャラが「殺人事件の容疑者」となるエピソードの画像
少年サンデーコミックス『名探偵コナン』第106巻(小学館)

 サスペンスやミステリー作品では、犯人を追い詰める主人公側の人間が容疑者として追いかけられる展開がしばしば描かれる。巧妙なトリックによって追い詰められていく彼らが、真犯人の残したわずかな手掛かりをもとに逆転勝利を飾る様は見ていて爽快だ。

 今回は、累計発行部数2億7000万部を誇る青山剛昌氏の推理漫画『名探偵コナン』のアニメから、メインキャラクターが容疑者になってしまったエピソードを振り返ってみよう。

■密室殺人事件の犯人は毛利小五郎!? 『容疑者・毛利小五郎』

 まずは、小五郎が大ピンチに陥る2000年放送の「容疑者・毛利小五郎」。ある日、蘭たちと軽井沢を訪れた小五郎は、ホテルで弁護士仲間の佐久法史・碓井律子らと旅行に来ていた別居中の妻・妃英理と出くわす。

 そしてその夜、例のごとく泥酔した小五郎は鍵+チェーンロックのかかった律子の部屋で彼女の死体とともに発見される。重要参考人として連行された旦那のため、英理は調査を開始。英理の観察眼と推理力はコナン並みに高く、現場の違和感を次々洗い出し、チェーンロックの鎖を切って糸で繋いでおくという密室トリックも暴く。

 コナンも「ハヤシ2」と書かれたメモを発見し、英理はこれが律子と組む予定だった林弁護士だと推測した。そこにベルボーイが現れ、「林からの電話で2度律子の部屋に行った。2度目はドアに『すみませんお金はちゃんと払いますとお伝えください』とメモが貼ってあった」と証言。

 コナンらは「ハヤシ2」は林と2時に待ち合わせの意味だと推理するが、ドアメモの意味は依然不明だ。が、コナンはメモの横に置かれていた食事メニューと英理の「間違い」という言葉から真相に辿り着く。

 真犯人は佐久だった。コナンの作戦にハマった佐久は、律子の部屋に行くように言われ廊下にハヤシライスが置いてある部屋を訪ねる。しかしそこは律子の部屋ではなかった。

 ハヤシライスを見て律子の部屋だと思ったのは、殺害後、食事メニューと並ぶ「ハヤシ2」のメモを見て「ハヤシライス2つ」と勘違いしたからで、ハヤシライス=律子の部屋になるのは部屋の中を見た犯人だけなのだ。ドアメモは、ベルボーイが来ないように佐久が書いたものだった。こうして英理とコナンの活躍により、小五郎は晴れて釈放される。

 別居は解消されないものの、夫婦の絆が垣間見えるラストシーンはほっこり。またこの回はMDがヒントの一つなのだが、今では見かけないアイテムに懐かしさもこみ上げてくる。

■次なる獲物は有名絵画!?『怪盗キッドと四名画』

 2007年放送の「怪盗キッドと四名画」では、殺人を犯したことのない怪盗キッドに容疑がかかる。ある日、画家の及川武頼のもとにキッドから彼の新作絵画「“青嵐”を頂きに参上する」という予告状が届く。

 及川は警察と小五郎らに護衛依頼を出すが、手を痛めて画家を引退した義父の神原晴仁は何やら不安を抱いている様子。一方警察は、機動隊を配置し万全の体制を整えた。

 予告の30分前に、及川が「最終チェックしたいからカメラを10分ほど止めてくれ」と怪しい発言をする。すでに予想できるが、今回の真犯人は彼だ。その後、予告時間前に停電が発生。皆が駆けつけると青嵐は消え、傍らでは神原が死亡していた。

 鉄壁警備中の殺人に頭を抱える刑事たち。そもそも本物の予告状なのかと疑念も浮かびあがる。そんな中、及川の服に「真実を頂きに参上!」という予告状が入っていた。どうやらキッドは、刑事の中に紛れ込んでいるようだ。

 その後わかったのは、神原の服の血痕に違和感があり、親指の付け根に楕円の跡があったこと、窓の下に細工された釣り糸と穴の開いた石があったこと。コナンはこれで真相に気づき、高木刑事に本物の青嵐を探すよう指示を出した。

 絵画はもともとなかったのである。あったのは外の石と部屋の扉を繋いだ釣り糸に布を被せた空のイーゼルで、扉を開ければ布と釣り糸が落ち、絵が消えたように見えるトリックだった。及川は神原をスタンガンで気絶させて胸元に携帯を置き、停電中に携帯の光で場所を探して殺していた。 

 動機は、金のために雪月花の絵画に青嵐を追加したから。最初の怪盗予告は青嵐がないことを隠すためのフェイクだ。だが、描けない彼に代わって神原が筆を咥えて描いていた(親指の跡はパレットの跡)ことが発覚し、切ない終わりを迎える。

 テレビクルーの荷物から千葉刑事のお面を被った爆睡中の高木刑事が発見されていたが、キッド本人はここまで未登場。エピローグで、変装を見抜いたコナンと対峙するのであった。

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