■自由自在に動く操作性に驚き! 画期的だった『ファンタジーゾーン』
1987年7月に、サンソフト(サン電子)から発売されたのが『ファンタジーゾーン』だ。オリジナルは1986年にセガがアーケード版をリリースしている。
本作は横スクロールのシューティングゲームなのだが、グラフィックはちょっとRPGのようでほのぼのとした雰囲気だ。惑星間の公式通貨が乱れてしまい、外貨を奪ってファンタジーゾーンに巨大基地を作ろうとするメノン星人を倒すべく、可愛らしい自機の「オパオパ」を操作して敵をせん滅していく。
全部で8つの惑星を撃破していくなか、敵キャラや前線基地を破壊するとコインが手に入る。これを使ってパーツを購入し「オパオパ」を強化していくのだ。
画期的だったのが、上下左右のスクロールを実現したその操作性だろう。通常のシューティングゲームの場合はスクロールが決まっており、進行方向の後方から来た敵機はかわすしかない。だが、本作は反転することができるため、右へ移動すれば右向き、後ろから来た敵がいれば左へ向きを変えることができる。
もちろん、上下にも自在に移動可能。要は、アクションゲームのような動きができるというわけだ。
パステルカラーで仕上げられたグラフィックは美しく、ボスキャラもインパクト大。ゲームセンターと比較しても、まったく不満はなかった。
当時みんなでかなり熱中していたが、そもそもオリジナルは「セガ」のゲームだ。当時、セガは自社でもゲームハードを出しており、『ファンタジーゾーン』もアーケード版の直後にセガ・マークIII版が発売されている。まさか任天堂のハードで、セガのゲームが遊べるとは思いもしなかったのだ。ゲームのクオリティの高さはもちろん、メーカーの垣根を飛び越えたという意味でも、“神移植”と言えるだろう。
ゲームセンターやパソコンからの移植作のなかには、容量の関係でゲームシステムのバランスが崩壊するゲームも存在する。しかし、紹介してきたこれらのゲームはオリジナルのファンを唸らせるほどの面白さを実現しており、まさに“神移植”である。