ファミコン時代にはオリジナルゲームはもちろん、アーケードゲームなどから移植される作品も多くあった。グラフィックやシステム面で本家に劣る部分はあれど、100円を投入しなくてもずっと遊べるため、ファミコンへの移植はとても嬉しかったものだった。
さて、そんな作品のなかには“神移植”とも言われるほど、当時の子どもたちを熱狂させてくれた名作ゲームも多く存在する。今回は、とくに印象的だった珠玉の神移植作「シューティングゲーム」を振り返りたい。
■当時はみんな遊んだ神移植作! 子どもから大人まで熱狂した『ゼビウス』
神移植作のシューティングゲームで絶対に外せない作品といえば、1983年に登場した『ゼビウス』だろう。ゲームセンターでも人々が熱中した、言わずと知れた名作だ。ファミコンでは、1984年11月にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されている。
なんといってもネーミングが抜群だ。この「ゼビウス」という響き……当時の子どもたちからすると、近未来を予感させるネーミングだった。
ゲームは縦スクロールのシューティングゲームで、自機の戦闘機「ソルバルウ」を操作して、ゼビウス軍を撃破していく。操作はいたってシンプル。対空攻撃用「ザッパー」と地上への砲撃「ブラスター」があるのだが、自機のパワーアップはなく、ひたすら被弾しないように避けながら攻撃……を繰り返していく。
ただし、このゲームは敵の倒し具合で、出現する敵機が変化していく。常に同じ場所で同じ敵が出てくるシューティングゲームとは、明らかに一線を画していた。
ボタン連射で高得点を狙いたいものの、ファミコン初期の四角ボタンのコントローラーは、ボタンがめり込んだまま戻ってこないという状況になることがあり、ファミコン初期に買ってもらって自慢していた友人は、逆に嘆いていたことを覚えている。
本作では、絶対に倒せない敵キャラ(バキュラ)も登場する。当時はさまざまな憶測が飛び交い、“何発当てれば倒せる”などといった怪情報も出回った。「99発当てると倒せる」なんて豪語していたクラスメイトもいたが、“どこで出回った情報なのか”と疑うことなく家に帰って試したものである。
ゲームセンターで稼働していた時期から面白いと口コミで広がり、ファミコンに移植されてから爆発的に広まった。「アンドアジェネシスが動かない」「地上絵がない」といった違いはあったものの、遊ぶ側からすれば、“ゲームセンターそのまんま”という印象だったのは間違いない。
どこの家に遊びに行ってもみんな持っており、まだまだゲームソフトの本数が少ない時代において友だちと交替しながら長く遊べるゲームとして重宝したものだった。
■名作の続編はさらに神作となった…『グラディウスII』
コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)が1988年12月に発売したのが、『グラディウスII』だ。アーケードでも同年に登場している。前作も神的な移植作だったが、本作も素晴らしい出来で最高に面白い。
自機「ビックバイパー」を操作しながら、敵を撃破していく。とにかくスピード感に溢れたゲームで、1面からいきなり現れる人工太陽の巨大さに息を吞んだ。リアルなグラフィックに驚いたが、ただしこれにぶつかると即アウト。コントローラーを持つ手が汗ばんでしまうほど緊張感が半端なかった。
『グラディウス』といえば、シリーズを通してパワーアップしていく楽しさとスピーディーな展開、個性的な巨大ボスが魅力である。特に、巨大なボスキャラはファミコン版でも健在で、そのインパクトは凄まじかった。よくぞ、ファミコンでこれだけ再現したな……と思ってしまったほどだ。
パワーアップゲージも前作から引き継がれており、どんどん強化していくのが楽しいのだが、「これで無敵だ!」なんて思っても衝突してしまうことが何度もあった。前作もかなりやり込んでいたのだが、『グラディウスII』は1面で何度もやられてしまうほど、難易度が高かった気がする。
また、本作はBGMも神曲で、ノリノリで口ずさみながら敵を撃破していったものだ。さすがはコナミといえる出来だった。
当時はすでにファミコン全盛期。多種多様なゲームが登場していたが、それでも抜群の面白さを誇る。『ゼビウス』に匹敵する、名作シューティングゲームといえるだろう。