■『ジャンプ』には意外と野球漫画がない?『ROOKIES』の場合
最後は、1998年から連載されていた野球漫画『ROOKIES』を振り返る。不良のたまり場となった二子玉川学園高校野球部が、再び野球に目覚めていく姿を描く同作では、12人の部員の内、半数が170cm以上という体格の良さを誇っていた。
まず、安仁屋恵壹が「181cm、75kg」、新庄慶が「185cm、81kg」、湯舟哲郎が「186cm、80kg」と180cm超えが3人。しかもいずれもが俊足で、新庄は背筋270kgというアスリート並みの筋力を持ち、安仁屋は高校2年の時点で遠投123mというプロ並みの肩の強さ。このポテンシャルの高さにはさすがに驚いてしまう。
さらに若菜智哉「179cm、71kg」、1年の赤星奨志が「177cm、72kg」、平塚平が「175cm、75kg」と平均以上が続くニコガクナイン。一方で、キャプテンである御子柴徹が「154cm、47kg」で、今岡忍が「152cm、45kg」と、かなり小柄なメンバーもいる。
だが、御子柴のような小柄な選手が特大ホームランを打って試合をひっくり返すという展開は、高校野球らしさがあって胸アツだ。後に御子柴は『週刊ヤングジャンプ』に掲載された読切『ROOKIES 夢の続き』で「去年の大会から8cmも伸びた」と発言し、162cmになったことを明かしている。
ちなみに、『ジャンプ』の野球漫画といえば1973年に始まったちばあきおさんの『プレイボール』も忘れてはいけない。同作の主人公・谷口タカオは長年スペックが不明だったが、2017年にコージィ城倉さんが発表した続編『プレイボール2』第11話にて「165cm、59kg」だと判明。『ROOKIES』の関川秀太「163cm、54kg」と似た体格というのはちょっと意外だ。
絵柄の要素もあり、「漫画のキャラはでかい」と思われやすいもの。だが、改めて見ると学生アスリートたちはそこまで突飛して大きいわけでもない。もちろん中には「その歳で?」というキャラもいるが、全体的に見るとバランスも良いのではないだろうか。