『週刊少年ジャンプ』で、高い人気を誇るスポーツジャンルの漫画たち。これまでに、高橋陽一さんのサッカー漫画『キャプテン翼』や井上雄彦さんのバスケ漫画『SLAM DUNK』といった往年の名作から、藤巻忠俊さんのバスケ漫画『黒子のバスケ』に古舘春一さんのバレーボール漫画『ハイキュー!!』といった新時代の名作まで、世界中にファンを抱える人気作品が各世代で生み出されてきた。
そんなスポーツ漫画に登場するキャラの中には、「本当に高校生!?」とつい驚いてしまうようなガタイの良い人物もいる。そこで今回は、『週刊少年ジャンプ』本誌のスポーツ漫画に登場する中高生アスリートにフォーカスし、彼らの大きさに迫ってみようと思う。
■180cm超え続出『SLAM DUNK』『黒子のバスケ』の場合
高身長が多いスポーツと言えばバスケットボール。『SLAM DUNK』や『黒子のバスケ』の高校生たちは、大半が大人顔負けの超高校生級の体格の持ち主だった。
『スラダン』では、主人公・桜木花道が入部時の自己紹介シーンで「和光中出身!! 188cm83kg!!」と言っている。高校一年時という成長期にこの身長は、バスケ部にとっては未来しか感じられないだろう。作中で描かれているプロフィールによると、それに加えて流川楓が「187cm、75kg」で、三井寿が「184cm、70kg」と、湘北スタメン組には長身選手が並ぶ。宮城リョータは「168cm、59kg」と小柄だが、赤木剛憲は「197cm、90kg」と作中トップクラスだ。
他校では、山王工業の河田美紀男(丸男)がずば抜けていた。彼は高校一年生でなんと「210cm、130kg」という巨体。210cmといえば、『北斗の拳』のラオウや、『キン肉マン』のウォーズマンと同じだ。体重こそラオウ(145kg)が重いが、丸男のポテンシャルは計り知れない。
次点は、「202cm、90kg」の陵南高校キャプテン・魚住純。意外なことに、『スラダン』の200cm超えはこの2名と、「走れる2メートル選手」として期待されながら亡くなった谷沢龍二のみである。
一方の『黒バス』は、ファンブックなどの情報によると、花道と同じ高一の黒子テツヤが「168cm、57kg」。かなり小柄だが、作中ではこの小柄さが強みになることも。
才能豊かな「キセキの世代」は、緑間真太郎が「195cm、79kg」、青峰大輝が「192cm、85kg」、黄瀬涼太が「189cm、77kg」と恵体ぞろい。赤司征十郎は「173cm、64kg」だが、才能がずば抜けているのでカバーされているか。
世代以外でいえば、陽泉高校2年のエース氷室辰也が「183cm、70kg」と三井寿とほぼ同じというのは面白い。しかも2人はSGというポジションまで同じだ。
『黒バス』の200cm超えは4名で、最も巨体なのが紫原敦「208cm、99kg」である。丸男と似ているが、体重差が大きいため紫原のほうが身軽であろう。次点は劉偉の「203cm、91kg」、パパ・ンバイ・シキの「200cm、87kg」、岡村建一の「200cm、98kg」である。最近は高校バスケも高身長の選手が増えているので、「漫画は大きすぎる」というわけでもないのが凄いところだ。
■大空翼は平均的?サッカー漫画『キャプテン翼』『ホイッスル!』の場合
『ジャンプ』ではこれまでたびたびサッカー漫画が連載されてきたが、やはり金字塔は『キャプテン翼』だ。11歳から始まった大空翼のサッカー人生は、世界中のプレーヤーに影響を与えた。そして、1998年から連載された樋口大輔さんによる『ホイッスル!』も、サッカー少年に刺激を与えた良作である。
『キャプ翼』はプロまで続くが、ここでは中学生・Jrユース編を参考にしていく。全国中学生サッカー大会及び国際Jr.ユース大会時の翼のスペックは、「167cm、55kg」だった。そこまで大きくもないのだが、小学生の頃は「145cm」だったため成長は早いと言える。
中学やユースメンバーを見ると、GK若林源三が「170cm」で頭一つ抜けていた。が、その上をいくのが「180cm」の次藤洋である。中学でこの身長はアドバンテージだ。しかし、彼の場合は中学までに急成長したようでその後は185cmで落ち着いている。
絵柄だと全員が超高身長に見える『キャプ翼』。しかし、数字を確認するとそこまで大きすぎるわけでもないようだ。
一方、『ホイッスル!』はばらつきがあり、強豪中には高身長が多く桜上水中には小柄な選手が多いなど、なかなかにリアルな差が描かれている。
たとえば、主人公の中学生・風祭将の第1話時点の身長は「146cm」で他のメンバーも160cm未満の選手が多数在籍していた。反対に強豪中は、武蔵森学園2年のエース・藤代誠二、国部第二中の天城燎一、東京選抜の鳴海貴志など、高身長の中学生選手が目立つ。
サッカーはロベルト・カルロスやリオネル・メッシなど小柄なトップ選手も多い。ゆえに一概に大きければいいというわけでもないが、実際にナショナルトレセンのメンバーなどを見ても高身長が多い傾向がある。そういった意味ではどちらの作品も、リアルなサッカー世界を描いていると言えるだろう。