■プレイヤーを脅かす3つの“恐怖”シナリオ

 前述の通り、本作では主人公や舞台が異なる3つのシナリオがある。それぞれに一癖も二癖もあるさまざまな“仕掛け”が用意されており、プレイヤーたちを恐怖へといざなう。

 「学校」編はタイトルが指し示す通り、夜中の学校が舞台だ。

 プレイヤーは女子生徒となって学校に渦巻く怪異を鎮めるべく奔走することとなるのだが、このシナリオでは開始早々、なんと担任教師が豹変し、襲い掛かってくる。こちらとしては、心の準備もできないまま迫ってくる教師から逃げ続けなければいけない。

 まだ操作にも慣れないなか、ひとけのない薄暗い校舎を走り続ける状況はとにかく絶望的。筆者はこの豹変した教師のビジュアルがしばらくトラウマとなり、忘れることができなかった。とくに“件の教師”と鉢合わせになってしまった瞬間などは、思わず呼吸を止めてしまったほどである。

 「ゲゲゲの森」編は、3シナリオのなかでも比較的穏やかな舞台だ。“ゲゲゲの森”に迷い込んでしまった少年を操作し、おなじみの妖怪たちと触れ合いながら、脱出を目指していくというもの。

 いわゆる“鬼太郎ファミリー”たちが出演するほっこりとしたシナリオ……かと思いきや、森にはマップがないため、数々のギミックも相まって難易度がかなり高めに設定されている。

 しかもこのシナリオ、条件により細かくエンディング分岐するようになっており、なかには「もしかしたら現世に帰れなかったかも」と思わせるようなダークな演出も。直接的な恐怖演出こそ少ないものの、総じてプレイヤーの不安感を煽る構成となっている。

 「肉人形」編では、記憶喪失になった主人公が鬼太郎と協力しながら事件の真相を追い求めていく。

 このシナリオでは、とある屋敷のなかを探索していくこととなり、全体的に謎解きに重きを置いた作りとなっている。物語開始早々に鬼太郎がパートナーとして連れ添ってはくれるものの、屋敷の不穏な空気も相まって、常に緊張感を抱いた状態で探索を続けなければならないのだ。

 タイトル通り、“人形”にまつわる怪異がテーマとなってくるのだが、ゲームを進めるごとに徐々にこちらへと近付いてくるその気配はなんとも不気味。終盤で明らかになる怪異の姿も、無機物と生物を融合させた実におぞましいビジュアルでプレイヤーを震え上がらせた。

 

 人気作品『ゲゲゲの鬼太郎』をテーマにしながら、妖怪との戦いではなく、数々の“ホラー”要素をメインに据えた点は、まさに本作ならではだろう。

 各所にちりばめられた恐怖演出の数々は、多くのプレイヤーの心に強烈な“トラウマ”を残したはずだ。

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