■世界観が怖すぎた?『ドラムカンナの冒険』
最後は、現在のアラサー世代には懐かしいであろう2002年9月〜12月まで『天才てれびくんワイド』内で放送されていたCG使用のスーパー人形劇『ドラムカンナの冒険』を振り返る。同作はゴミの世界を描いたダークファンタジー的な作品で、冒険活劇としての面白さがある半面、その世界観に恐怖を感じる人も多かった。主人公は、小学6年生のカンナ。冒頭のみ実写で、井端珠里さんが演じていた。
さて、物語を見ていこう。ある日、いじめられていたタク(演:菅谷智春さん)を助けたカンナ。だが、タクがカンナの携帯に「NO FUTURE」と書き、それに怒ったカンナがタクの携帯を放り投げてしまった。
携帯を拾いに行ったカンナは、大きなドラム缶を見つけて覗き込む。すると突然吸い込まれ、「ゴミリーヒルズ」というゴミの世界に飛ばされてしまう。そしてカンナは、ドラム缶を被った人形になってしまった。
そこに陽気な国歌を歌うゴミたちが現れ、捉えられて裁判にかけられてしまうカンナ。だが誤解は解け、その後様々なゴミと出会い仲間を増やしていく。しかし、人間に捨てられた恨みから人間世界の征服を目論むガラス皇帝が動き出し、国の平和が脅かされ始めた。
タクもゴミの世界に来ていたことが判明すると、2人は住民とともにガラス皇帝に立ち向かっていく。ついに皇帝を打ち破ったカンナは、元の世界に帰ろうと言うタクに「私はここも悪くないと思うよ」と言い、2人はゴミの世界で生きることを選んだ。
このゴミたちは奇抜なフォルムで個性的な性格をしており、みんなキャラが濃い。個人的には、やたらとセクシーなキャサリン先生のインパクトが強かった。
1話から登場する「NO FUTURE(未来はない)」は、「運命は自分で切り開け」というメッセージだ。人々に勇気を与える素晴らしいものだが、カンナらがゴミとして生きる選択を取ったのはちょっと複雑な気持ちになってしまった。
幼心に強烈なインパクトを残すNHKのちょっと怖い『人形劇』。だが、どの作品も怖いだけでなく、メッセージ性があり学びにもなる点が素晴らしい。大人になってから振り返るとまた別の楽しさが見つけられるので、再放送があればぜひチェックしてみてほしい。