■操作性やルール、あらゆる点で“プロレス”を実現した骨太な一作『タッグチームプロレスリング』

 ファミコンにはスポーツを題材としたゲーム作品も多く登場しているが、なかでもいち早く“プロレス”に焦点を当てた作品が、1986年にナムコから発売された『タッグチームプロレスリング』だ。

 ファミコン作品でありながら、かなり忠実にプロレスのルールを再現したことでも有名で、体力ゲージを0にすることが目的ではなく、“フォールして3カウントを奪う”、“締め技でギブアップさせる”、または“リングアウトにする”ことで勝利が可能となる。

 また、登場キャラたちが実在する有名プロレスラーをモデルにしているのも、プロレスファンからすればニヤリとしてしまう点だろう。操作キャラのリッキーとウルトラマシーンはそれぞれ長州力さん、スーパー・ストロング・マシンさんをモデルに、対戦相手のウォーリーとマスクロスも、ホーク・ウォリアーさん、ミル・マスカラスさんと、それぞれ特徴的な“必殺技”も設定されている。

 リング上ではパンチを当てることで攻撃の主導権を握り、選択した技で相手を追い詰めていくのだが、実際のプロレスのようにリングの外に落下するアクシデントも発生するのだから面白い。

 落下後は一定時間以内にリング内に戻る必要があり、実はこの際、場外に置かれている“ゴング”を凶器として使用することができるなど、現実さながらのダーティな試合展開も可能なのだ。

 実在するプロレスラーを題材としたプロレスゲーム『タッグチームプロレスリング』。当時のファンたちを、おおいに熱狂させることとなった。 

 

 ファミコン時代に登場した対戦格闘ゲームは、いずれもシンプルな作りでありながら戦いのなかで駆け引きが生まれるよう工夫されており、白熱した攻防をしっかりと味わえるものだった。

 当時の子どもたちは個性的な“対戦格闘ゲーム”の数々に熱中し、手に汗握っていたのだ。

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