『週刊少年ジャンプ』(集英社)を湧かせた人気漫画が読み切りとして復活する例は少なくない。連載◯周年のお祝い、アニメや映画といった新展開の宣伝など理由はさまざまあるが、ともあれ大好きな漫画が帰ってくるのは読者として喜ばしいことだ。
今回は『ジャンプ』に“読み切り”として復活した名作ジャンプ漫画をいくつか紹介していこう。久々にホームに戻ってきた漫画たちは、いったいどんな物語を紡いだのだろうか。
■ 読み切りだけで単行本が出ちゃった!『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
2016年に最終回を迎えた、超長寿ギャグ漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治氏)。今年8月に『ジャンプ』に読み切り「2024年日暮登場!?の巻」が掲載され、夏休みをテーマに大原部長がメインのエピソードが描かれた。両さんをただの問題児と捉えない大原部長の考えが胸に染みる良い話で、「オリンピックイヤーなのに日暮の話じゃないの!?」と驚かされたが……読み終えたあとの満足感はさすが『こち亀』だった。
だが実は『こち亀』の復活は今年だけの話ではない。連載を終えてから何度も読み切りが発表されており、2017年からは毎年『ジャンプ』に里帰りしている。
2021年には、連載終了後の読み切りを数本収録した単行本201巻が発売されたほどだ。連載終了とはなんなのだろうか……なにからなにまで型破りな『こち亀』らしく嬉しくなってしまう。
ちなみに、筆者が個人的に気に入っている『こち亀』読み切りエピソードは、両さんがVチューバ―に挑戦する「Vチューバ―大作戦の巻」だ。その時の流行りを面白おかしく取り上げており、とても『こち亀』らしい話である。先述の201巻にも収録されているので、ぜひご一読あれ。
■「これ続きないんですか!?」新たな戦いを匂わせた『BLEACH』
00年代の『ジャンプ』を支えた不朽のバトル漫画『BLEACH』(久保帯人氏)は2016年に最終回を迎え、その5年後の2021年夏に新作読み切り『BLEACH 獄頤鳴鳴篇』として、一度きりの復活を果たした。
大ボリュームの73ページでの帰還に往年の『BLEACH』ファンは色めき立ったが、その内容は復活の喜びを上書きするほど衝撃的なものだった。
本編最終回から2年後、平和を享受していた黒崎一護や死神たちは、由緒ある儀式「魂葬礼祭」の準備のために現世に集合する。
序盤は同窓会のような雰囲気に読者は懐かしさすら覚えるのだが、読み進めると不穏な展開になっていく。正体不明の新たな敵の襲撃、本編で明かされなかった謎の匂わせ……まるで新章へのプロローグを感じさせるストーリーなのだ。
事態が解決するどころか謎が謎を呼ぶまま話は終わり、一護の息子・一勇の意味深な笑みとともに本作は幕を閉じる。なにも解決していないのにだ! 『BLEACH』の新作続編を示唆する終わりに、当時のファンは若干の困惑と極上の喜びに沸き立った。
しかし、読み切りから3年が経った今も『獄頤鳴鳴篇』の続きは発表されていない。久保先生いわく「あそこで切るのが一番面白いと思って!」とのことで、続編を描くつもりがあったわけではないようだ。いつか久保先生の気持ちが変わる日はくるのだろうか……? 気長に待つことにしたい。