2020年に連載が終了してもなお、その絶大な人気から新作アニメが放映され続けている吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』。最終決戦である『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が三部作として制作されることが発表され、大きな話題となっている。
本作では内部の構造が生き物のように縦横無尽に変化する“無限城”が決戦の舞台となるのだが、こういった特殊なフィールドでの戦闘は、バトル漫画の大きな見どころの一つでもある。
今回は、あまりにも奇抜な場所で戦いを繰り広げた驚きのバトル漫画の展開について見ていこう。
■なぜこんなものが体内に…『キン肉マン』死の五重リング
『週刊少年ジャンプ』(集英社)には数多くのバトル漫画が登場してきたが、なかでも個性的なキャラクターたちが激闘を繰り広げる作品といえば、1979年に連載がはじまった『キン肉マン』だろう。
漫画家・ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)のデビュー作にして代表作である本作では、主人公・キン肉マンをはじめ数々の“超人”たちが一堂に会し、鍛え上げた肉体と多彩な技の数々でぶつかり合う作品だ。
プロレスを主体とした格闘漫画でもあることから、作中には数々のギミックが施された特殊なバトルステージが登場する。なかでもその意外な設定で読者を驚かせたのが、「黄金のマスク編」で描かれたウォーズマンの“死の五重リング”だろう。
重傷を負い活動停止してしまったウォーズマンを救うため、体を小さくしてウォーズマンの体内に潜り込んだキン肉マンたちだったが、待ち構えていた悪魔騎士たちとのバトルに突入してしまう。
そんななか、バトルステージとして活用されたのがこの“死の五重リング”だった。さながら“五重塔”のように5つのリングが縦に連なった、なんとも特殊な形状をしている。そして各リングの上でアイドル超人VS悪魔騎士の激戦が繰り広げられるのだが、気になってしまうのは、なぜこんなリングがウォーズマンの“体内”に存在しているのか、ということだろう。
体の内部に設置されているので本来はかなりのミニチュアサイズだろうが、背骨のすぐそばにこんなものが作られている理由は謎に包まれたままだ。これ以外にもなぜか“らせん階段”が設置されていたりと、ウォーズマンの体内構造にはとにかく奇怪な点が多い。
半機械の体を持つウォーズマンではあるが、まさか体内に小さな誰かがいたのだろうか……なんて、あらぬ想像をかきたてられてしまうエピソードである。
■癖が強すぎる特殊ステージのオンパレード…『魁!!男塾』大威震八連制覇
男たちが熱い激闘を繰り広げる作品といえば、『週刊少年ジャンプ』で1985年から連載された宮下あきら氏の『魁!!男塾』も忘れてはいけない。
本作には数々の格闘行事や大会が登場しているが、なかでも多種多彩なバトルステージで読者を驚かせたのが、三年に一度開催される「大威震八連制覇(だいいしんぱーれんせいは)」だろう。
1チーム8人の団体戦で、選手たちは計4回のタッグマッチを繰り広げていく。決戦の舞台となったのは信州奥地の八ヶ岳連峰に存在する“八竜の長城”で、そこではさまざまな趣向を凝らした4つの特殊ステージが塾生たちを待ち構えていた。
特殊合金「塩鉄鋼」の柱が連なる林の上で戦う「磁冠百柱林闘」などは序の口で、濃硫酸が満たされた大器に落ちないよう戦う「竜盆梯网闘」や、石油の湖に放たれた火によって徐々に溶けていく島の上で戦う「燦燋六極星闘」など、もたもたしていればステージに仕込まれたギミックによって命を落としかねない。
さらに最終ステージの「天雷響針闘」は一見、彫像に囲まれた闘技場なのだが、避雷針の上に雷が落ちると無数の“槍”がランダムで飛び出してくる。つまりは、運すらも味方につけ、勝利をもぎ取る必要があるのだ。
これで終わり……かと思いきや、なんと最終決戦のための特殊ステージ「宙秤攣殺闘」が用意され、最後は巨大天秤にかけられた一号生・三号生の命を賭けた30分間のデスマッチがおこなわれる。
選手同士の激戦もさることながら、あまりにも苛烈極まりないステージギミックの数々にも終始驚かされてしまう。