いしだ壱成、香取慎吾、反町隆史、浜崎あゆみ…豪華キャストがズラリ!再放送されない名作ドラマ『未成年』が描いた「不器用な青春」の画像
『未成年』DVD-BOX(TBS)

 90年代のテレビドラマは大変活気があった。なかでも印象的なのは、「TBS野島三部作」と呼ばれた野島伸司さんが手がけた3つのドラマだろう。

 野島さんが手掛けた1993年の『高校教師』、1994年の『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』、1995年の『未成年』の3作品は、それぞれ視聴者に強いインパクトを与えた。中でも三部作の最後に放送された『未成年』は、当時社会問題になっていたテーマを取り上げたストーリー、そして豪華なキャスティングが大きな話題になった。

 今回は、ドラマ『未成年』で描かれた、不完全な世界を一生懸命に生きる若者たちの物語を振り返りたい。

■TBS野島伸司三部作の最後を飾った『未成年』それまでと違った青春群像劇

 『未成年』のあらすじはこうだ。いしだ壱成さん演じる高校3年生の主人公・博人は、兄にコンプレックスを持ちながら同級生の順平(北原雅樹さん)とともにダラけた高校生活を送っていた。

 しかしある日、知的障害を持つデク(香取慎吾さん)や、中学時代に同級生だったチンピラの五郎(反町隆史さん)、優等生の勤(河相我聞さん)らと出会い、友情を深めていく。そしてある事件をきっかけに彼らは廃墟に立てこもり、最後は大人たちと対決していくのである。

 『未成年』は「TBS野島三部作」のそれまでとは違った青春群像劇だ。『高校教師』は教師と生徒の禁断の恋物語、『人間・失格』は壮絶なイジメや復讐劇を描いたややディープな内容だった。

 当時、それまでの二作品を視聴してた筆者は、『未成年』もかなりハードな内容になるのでは……と予想していたのだが、そうではなかった。前二作品に比べると青春ドラマ色が濃く、映画『スタンド・バイ・ミー』のような爽やかな友情シーンや、博人が抱える淡い恋心などが印象的な作品であった。

 ちなみに、野島さんのドラマは、毎回作品に合ったテーマ曲も話題になりヒットした。本作のオープニング曲は『Top of the World』、エンディング曲は『I Need To Be In Love(邦題:青春の輝き)』と、ともにカーペンターズの名曲が起用された。ドラマの内容にピッタリの優しい歌声と歌詞で、90年代におけるカーペンターズブームを引き起こすきっかけにもなった。

■豪華な出演者が話題!あのお笑い芸人や歌姫も

 『未成年』は、豪華なキャスティングも話題になったドラマだ。前述したように、主人公の博人を演じたのは、当時大人気だった俳優のいしだ壱成さん。そして博人を取り巻く友人の五郎を反町隆史さん、優等生の勤を河相我聞さん、デク役を香取慎吾さんが演じるなどそうそうたるメンバーが出演している。

 なかでも香取さんが演じたデクは、ケガがもとで知的なハンディを抱える難しい役どころで、彼の繊細な演技は高い評価を得た。筆者も、香取さん演じるデクのナチュラルな笑顔と、ピュアなセリフがとても印象的だったことを覚えている。

 また博人の親友、順平を演じたのは90年代にイケメンお笑い芸人として人気を博した、元グレートチキンパワーズの北原雅樹さんだ。今でこそ若手のお笑い芸人が俳優として活躍することは多いが、当時は芸人が人気ドラマに抜擢されるのは珍しく、演技も注目された。

 さらに本作には、歌手の浜崎あゆみさんも出演している。当時、まだ歌手デビュー前だった浜崎さんが演じたのは、河相さん演じる勤の恋人・田畑瞳だ。勤と出会ったあとにほかの男性との子どもを妊娠していることが発覚し、揺れ動く心情を見事に演じていた。この作品では、まだあどけなさの残る浜崎さんの姿が見られる貴重な作品でもある。

  1. 1
  2. 2
  3. 3