■実現不可能と言われた奇抜極まりない音大生『のだめカンタービレ』上野樹里

 個性的な原作キャラをいかに再現するかは、漫画の実写化における課題の一つだが、その壁を凄まじい表現力で見事に突破してみせた実力派女優も登場している。

 2006年に放送された実写ドラマ『のだめカンタービレ』こそ、とある女優の底力がいかんなく発揮された作品と言えるだろう。

 本作は2001年から『Kiss』(講談社)にて連載された二ノ宮知子さんの漫画を原作としたドラマで、音大で出会った男女が織りなす“恋愛”と“クラシック音楽”をテーマとしたラブコメ作品である。

 本作を実写化するにあたってファンが注目したのは、やはり主人公の音大生・野田恵を誰が演じるのか、という点だった。

 タイトルにもその名を冠している“のだめ”は本作を象徴するキャラクターで、天才的な音楽センスを持ちながら、その一方でゴミだらけの部屋に住み、感情のままに奇声をあげる、なんとも癖の強い人物なのだ。

 そんな“のだめ”役に抜擢されたのが、女優の上野樹里さんだ。“のだめ”が持つ奇抜さと、演奏の際に見せる天才性とのギャップを上野さんはその高い実力で演じ分け、まさに原作そのままの“のだめ”をドラマに降臨させてしまった。

 もちろん、のだめが随所で放つ奇声や絶叫も上野さん自身が発しており、原作通りの「ぎゃぼー!」や「ぷぎゃー!」といった個性的な叫び声が生の音声としてお茶の間に届けられることとなった。

 上野さんはドラマのみならず、のちに公演された舞台版ミュージカルでも野田恵役として出演している。その圧倒的な再現度から、いまや「のだめ=上野樹里さん」という印象を抱くファンも多いのではないだろうか。

 

 キャラクターの再現度が非常に重要な実写化作品。今回紹介した女優たちはいずれも凄まじいクオリティでキャラを表現し、原作ファンからも高い評価を得ている。三次元で表現される個性豊かな女性キャラたちの活躍を、ぜひともその目で確かめてみてほしい。

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