『仮面ライダー電王』に『カブト』、『W』も…「せつなすぎる…」何度観ても涙が止まらない『平成仮面ライダー』の「哀しき神回」の画像
『仮面ライダー電王』 VOL.1 俺、参上! [DVD](東映ビデオ)

 平成の日曜朝の看板であり続けた特撮作品、平成『仮面ライダー』シリーズ。平和を乱す怪人を倒すライダーの姿は凛々しく、戦いを続けなければならない哀愁はファンの涙を誘う。カッコ良さの裏に哀しさを隠した彼らの活躍は、大人の心をも掴んで離さない。

 今回はそんな平成仮面ライダーのなかでも、涙なくして語れない設定やエピソードを持つ仮面ライダーを振り返っていこう。

■「忘れる方だって辛いんだ」『仮面ライダー電王』仮面ライダーゼロノス・桜井侑斗

 まずは、佐藤健さん主演で2007年から放送された『仮面ライダー電王』からだ。

 歴代仮面ライダー作品のなかでも根強い人気を誇る本作。個性的な怪人が多数登場する作風からコミカルな印象があるが、2号ライダーにあたる仮面ライダーゼロノスこと桜井侑斗(中村優一さん)にはとても重い設定がある。それは「変身すると自分の存在が他人から忘れられる」というものだ。

 ゼロノスは主人公の電王に匹敵する強力なライダーだが、変身の際に使うゼロノスカードには、侑斗を知る人の記憶を少しずつ消していくというデメリットがあった。そして彼を覚えている者がこの世からいなくなると、存在自体が消滅してしまうのだ。

 守るべき対象から忘れられてしまう皮肉を抱えたゼロノスの戦いは、カッコいいのに痛ましくて仕方ない。

 印象的なのが第42話「想い出アップデート」での一幕だ。侑斗が忘れられる現実を良しとしない相棒・デネブの計らいで、侑斗はとある女子高生に好意を寄せられる。しかし侑斗は喜ぶどころかデネブに激怒し、その後、こう言い放った。

 「忘れられる方だけ考えるなよ……忘れる方だって辛いんだ」と。

 侑斗を忘れたほうは「辛い」という気持ちすら自覚できないのに、その気持ちを思わずにはいられない。侑斗の底抜けの優しさ、そして彼の悲壮な決意に涙した人は多いだろう。

■姉の仇は自分だった『仮面ライダーカブト』仮面ライダーサソード・神代剣

 次は、2006年から放送された、水嶋ヒロさん主演の『仮面ライダーカブト』から、仮面ライダーサソードに変身する神代剣(山本裕典さん)を紹介しよう。

 本作に登場する怪人“ワーム”に姉を殺された過去を持つ剣は「すべてのワームは俺が倒す!」と豪語し、そのために仮面ライダーサソードに変身して戦う男だ。

 そんな剣の正体は、なんと姉の仇であるスコルピオワームその人だった。ワームには人間に擬態する能力があり、スコルピオワームはかつて、本来の神代剣とその姉を殺した際に剣に成り代わった。しかしその際に記憶に障害が生じ、自分を「神代剣に擬態したワーム」ではなく「神代剣本人」と勘違いしたまま生きてきたのだ。

 物語の終盤で自分の正体を自覚した剣は、苦悩の末、スコルピオワームとして残存ワーム勢力を統率。あえて人類に決戦を仕掛けることでワームを返り討ちにさせ、自らも仮面ライダーカブトに倒される道を選ぶ。

「すべてのワームは俺が倒す!」口癖のように語っていた誓いを果たした剣は、自分を世話してくれた執事のじいやに看取られながら静かに息を引き取る。“神代剣”を貫いたその死に様は、何度観ても涙なしには見られない……。

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