『ドラゴンクエスト』シリーズにかぎらず、RPGの醍醐味はキャラクターをコツコツと育てあげ、行く手を阻む強敵に勝利をおさめ、さらなる目的地へと向かう流れにある。
当然、準備と対策を怠らないことは重要だが、ときには予想もしない場面で強敵に遭遇してしまい、完膚なきまで叩きつぶされることもある。
たとえば、予備知識なしで戦うと苦戦必至な『ドラクエ5』の「ブオーン」や、普通の兵士のグラフィックに油断させられる『ドラクエ6』の「キラーマジンガ」などに全滅させられた人も多いのではないだろうか。
そこで今回は『ドラクエ』シリーズで遭遇した、忘れられない「初見殺し」モンスターたちに思いを巡らせてみよう。
■物語前半に現れる魔王の恐怖
スーパーファミコン版『ドラクエ6』に登場するボスのひとり「ムドー」。実は大魔王デスタムーアの部下なのだが、プレイヤーの目線ではゲーム序盤から魔王としての存在感を示していた。
そんなムドーとは終盤に戦うものだと思っていたが、実際はかなり序盤に遭遇する。ほとんどのプレイヤーは、まだレベル10台の頃に戦うことになるはずだ。
2体の「きりさきピエロ」を従えて現れるムドーは、当然のことながら能力が高く、とくに守備面に優れている。しかも、最初の戦闘はムドーの第一形態にすぎないのだ。
なんとか第一形態を倒したと思ったら、ムドーは第二形態になって本領発揮。1ターンに2回行動したり、全体攻撃を多用したりとパワーアップを果たす。とても序盤に登場するボスとは思えない圧倒的な強さに、全滅を強いられた人は多いことだろう。
「ゲントの杖」による回復効果や「ほのおのツメ」によるメラミの効果に頼らないと、相当厳しいボスだ。なかでも「ほのおのツメ」は、ムドーのいるダンジョンを探索しないと手に入らないので、これを取り逃していたら絶望的である……。
■難関を突破した先に待っていた悲劇
全シリーズを通して、たちの悪いザコ敵の筆頭に名前を挙げたいのが、ファミコン版『ドラクエ2』から登場した「ブリザード」だ。
このモンスターは『ドラクエ2』の最難関ダンジョンとして知られる「ロンダルキアへの洞くつ」を抜けた先の「ロンダルキア」の地に生息している。
ブリザードが使ってくるのは「ザラキ」と「ルカナン」という、ふたつの呪文のみ。こちらのHPを減らす通常攻撃はしてこないので楽勝かと思いきや、即死呪文の「ザラキ」を連発してくるのが本当にやっかい。
『ドラクエ2』のシステム上、こちらが確実に先手をとる方法は存在しないので、どれだけレベルを上げようとも即死の恐怖からは逃れられない。もし4体のブリザードに不意打ちされようものなら、「ザラキ」の嵐が襲ってくるのは間違いないのだ。
必死の思いで「ロンダルキアへの洞くつ」を突破し、達成感であふれているところにブリザードの群れが出現。「ザラキ」連発により全滅させられて再度やり直し……なんてトラウマ級の悲劇も十分に起こりえた。