きわどい描写に恐怖演出も…『るろうに剣心』『エスカフローネ』『デジモンアドベンチャー』  90年代アニメで震えた「伝説の神回」の画像
CD「少女革命ウテナ 絶対進化革命前夜」(キングレコード)

 傑作と呼ばれるテレビアニメには、視聴者を驚かせるほどクオリティの高い「神回」が存在する。記憶に新しいところでは、吾峠呼世晴さん原作のテレビアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』(2024年放映)の最終回となった第8話「柱・結集 」がこれにあたるだろう。

 鬼殺隊の当主「お館様」こと産屋敷耀哉が、無惨を道連れにしようと屋敷を爆発させたシーンの描写がすさまじく、「すごいクオリティ」「まさに神回!」と大きな話題になった。

 そして、こうした「神回」は1990年代を代表するアニメにも多く見られる。

 たとえば、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年から放映)の第24話「最後のシ者」では、後半パートでベートーベンの「第九」を印象的に使用。この回に登場した謎の少年・カヲルは、たった1話で多くの女性ファンをとりこにした。

少女革命ウテナ』(1997年から放映)の第33話「夜を走る王子」では、シリーズの総集編と見せかけて、きわどい新規シーンを追加。夕方の視聴者を驚かせた、実にトリッキーな「神回」だ。

 そこで今回は、まだ「セル画」が主流だった1990年代のテレビアニメから、筆者が独断で選んだ「伝説の神回」を振り返る。

■神がかった映像クオリティに感涙!

 今なお多くのファンから「神がかっていた!」と語り継がれているのが、アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(1996年より放映)の第31話「届かぬ想い……剣心の旅立ち!」の回だ。

 本作は和月伸宏さんの同名漫画を原作とした、最初のテレビアニメ。明治初期の日本を舞台に、“人斬り抜刀斎"こと緋村剣心が、神谷薫などの仲間たちと出逢い、過酷な戦いのなか「不殺」を貫く物語。

 強敵との戦いや修行などバトル要素の強い作品だが、旧アニメの「神回」は、剣心と薫の別れを描いたエピソードである。原作では京都へと旅立つ前の剣心が、自分を案じる薫を抱きしめ、「拙者は流浪人」「また…流れるでござる」と告げる。そして、別れ際に枯れ葉が舞う、とても切ない場面だ。

 一方アニメでは、月明りのない暗闇にうっそうとした木々が描かれ、剣心のこれからの旅路に対する不安をあおる。

 そんな暗い場面のなか、蛍の淡い光に浮かびあがったふたりの姿は儚くも美しく、それを演出した美しい映像と、流れるクラシック音楽に心を動かされた。

 ちなみに2023年に放映された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-(第一期)』では、シリーズ最終話の「明治十一年五月十四日 」で、剣心と薫の別れが描かれている。

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