■縛りの定番「低レベルクリア」

「低レベルクリア」は、縛りプレイの中では比較的オーソドックスな挑戦かもしれない。通常、RPGでは経験値を得ることでキャラクターのレベルが上がり戦闘能力が向上するが、低レベルクリアでは必要最低限の経験値しか得られず、したがって、ステータスも低い状態で進める必要がある。だがこれこそ挑戦心をくすぐるものであり、当時は友人間で「イシスまでレベル◯で行った」や「バラモスをレベル◯で倒した」などと、難関登山でも達成したかのように自慢をしたものだ。

 レベルが低い状態で進むと、HPやMP、習得する呪文の数が限られ、戦闘が極めて困難に。まさに、一つ一つの戦闘が命がけとなるのだ。敵の攻撃をどのようにしのぎ、いかにして攻略するか、プレイヤーは敵の攻撃パターンや弱点を熟知し、戦術を練り尽くす必要がある。

『ドラクエ3』は、モンスターがある程度のパターンやローテーションで攻撃してくるゲームで、そのパターンを活かした知的な戦略が非常に重要だ。ボス戦では、敵の行動パターンを分析し、最適なタイミングで攻撃や防御を行い、知略を最大限に活用しなくてはならない。

 たとえば、魔王「バラモス」は、完全ローテーションで攻撃を仕掛けてくるので、このターンは攻撃、防御、回復、どの行動をとるのか見極めなければならない。

 最近ではいかに短い時間でクリアをするかを競う「RTA(リアルタイムアタック)」も定着したがネットのない時代には前述したような身近な“縛り”が楽しいものだった。それも、何度プレイしても新たな感動を与えてくれた『ドラクエ3』のすごさだろう。

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