■血は絶えていなかった?『天空の城ラピュタ』のムスカ大佐
悪役なのに憎めない不思議な魅力とカリスマ性を放っていたムスカ大佐。作中で彼の家族に関する描写はなかったが、実はフィルムブック『ロマンアルバム 天空の城ラピュタ』のムスカ大佐のキャラ説明欄で、子孫がいたことが判明している。
その人物は、1978年にNHKで放送された『未来少年コナン』に登場するレプカであり、「レプカの先祖」と書かれている。レプカはコナンらを追い詰める悪の勢力・インダストリアの行政局長で、世界征服という野望を持つ人物。『コナン』の敵の中で最も悪役らしい悪役で、常に横暴で高圧的な態度をとり、目的のためなら手段を選ばず、部下をもあっさり見捨てる非情さの持ち主だ。
ムスカとレプカは、体型こそ違うものの顔つきはどこか似ている。部下の命を簡単に捨てたり非道な言葉で相手を追い詰めたりする極悪な性格にも共通点があり、「悪の親玉と狙われる少女」というレプカ&超能力少女ラナの関係性は、ムスカ大佐&シータにそっくりだ。
2人に類似性があるのは、『ラピュタ』が幻となった作品『コナン2』の設定の一部を継承して作られたからだと思われる。キャラ設定も同様で、ムスカ大佐についても初期設定でレプカそっくりな見た目の「ルスカ大佐」というキャラの絵コンテが残されているほどなのだ。
『ラピュタ』の舞台は19世紀で『コナン』は西暦2008年。時代の流れ的には“子孫”という設定もありうるといえばありうるだろう。一方で「バルス」で視力を失い崩壊するラピュタとともに落ちていったムスカ大佐が、どのような形で子孫を残していたのかという点も気になるところだ。
細かな裏設定があるのも、宮崎駿作品の素晴らしさであり面白さの一つ。本編で描かれることのない裏設定を知った上で改めて作品を見直すと、新たな楽しさが発見できるかもしれない。