ゲーム作品のなかには、初期は弱くとも、一定レベルを超えると突如強力な技を身につける意外なキャラクターが多数登場する。なかには、レベルを“99”まで育てることで予想外の能力を披露したキャラクターもいて、プレイヤーたちを驚かせた。
そこで、レベルマックスで驚きの変化を見せたキャラたちを紹介していこう。
■思わぬ強さを秘めたシリーズのマスコット的存在…『ドラゴンクエスト』スライム
数々の名作RPGが登場するなか、今もなお伝説的なシリーズとして人気を博しているのが『ドラゴンクエスト』だ。シリーズ通しての“顔”ともいえるキャラクターといえば、ゲーム開始直後にプレイヤーが戦うこととなるモンスター「スライム」だろう。
いわゆる“ザコモンスター”として登場するのだが、一方、きちんと育てることで思わぬ能力を発揮する“大器晩成型”のキャラとしても有名だ。
その特徴が顕著に表れたのが、1992年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』である。
本作はこれまでのシリーズとは異なり、敵として撃破したモンスターたちを仲間にし、共に冒険することができるのが大きな特徴だった。数々の個性的なモンスターたちを自由に組み合わせ、自分だけの仲間を育て上げる新たな楽しみがプレイヤーたちを夢中にさせた。
そんな本作にもスライムは登場するのだが、序盤のキャラクターゆえステータスが軒並み低く、ほかのモンスターに比べるとどうしても一歩劣っている感は否めない。
しかし、このスライム、レベル99まで育てることで“しゃくねつほのお”なる特技を覚える。これにより、立ち位置が一変するのだ。
“しゃくねつほのお”は炎系ブレスで最強の技であり、その強烈な全体攻撃は並みのモンスターであれば一気に殲滅することも可能。しかもスライムはもともとすばやさが高いため、反撃の隙すら与えずに超火力技を叩き込むことができ、装備を整えることで飛躍的に戦闘能力を向上させることもできる。
マスコット的な立ち位置のキャラと思いきや、物語終盤の苛烈な戦いにも対応できるその秘められた力に、驚かされてしまうキャラクターだ。
■凶悪な見た目だが肝心の性能は…『新桃太郎伝説』貧乏神
1993年にハドソンより発売されたスーパーファミコン用ソフト『新桃太郎伝説』は、ハドソンの看板ともなっていた『桃太郎伝説』シリーズの一作で、ファミコン版『桃太郎伝説』の6年後を描いたRPG作品となっている。
このシリーズは、ところどころにギャグを交えた、のんびりとした空気のストーリーが特徴。しかし、本作ではそういったコミカルな要素が撤廃され、昔話を主軸としたシリアスで本格派なシナリオが展開されていく。
主人公の桃太郎をはじめ、おとぎ話をモチーフとした個性豊かなキャラクターが多数登場するのも本シリーズの売りの一つだが、最後まで育てることで思わぬ変化を見せたキャラクターといえば、シリーズでもお馴染みの貧乏神だろう。
のちのシリーズ作品では“ボンビー”の愛称でも親しまれているキャラクターだが、その名の通り、実に貧相な格好をしており、見た目通り味方キャラクターとしての能力もかなり低めに設定されている。
わずかばかりのお金を盗むことくらいしかとりえのない貧乏神なのだが、根気よく99段(本作におけるレベル)まで育てると、これまたのちのシリーズでもお馴染みの“キングボンビー”へと姿を変えるのだ。
凶悪な姿になったことでようやく使い物になる……かと思いきや、なんとこれまで使えていた術が使えないどころか、体が大きくなったことで装備が装着できなくなるなど、総じて変身前よりも使いにくくなった感は否めない。
利点としては貧乏神時代に不得意だった天気・“雷雨”が得意になるといったものがあるのだが、育て上げる労力に対してどこか見合っていないようにも思えてしまう……。変身後の姿に期待を抱き、その内容にあぜんとしてしまったプレイヤーも多いのではないだろうか。