■妊娠を武器に家族を追い詰める…『ストーカー・誘う女』
『ストーカー・誘う女』は、恐ろしい女性ストーカーをテーマに描いた作品だ。主役のミチルを演じたのは、雛形あきこさん、彼女から追い詰められる男性・森田柊志を演じたのは陣内孝則さんだ。
本ドラマは1997年1月よりTBS系列で放送され、先に紹介した『ストーカー 逃げきれぬ愛』と放送時期が被っている。そのため月曜夜は渡部さんの男ストーカー、木曜夜は雛形さんの女ストーカーの恐怖を楽しんでいた視聴者もいただろう。
『ストーカー・誘う女』のあらすじはこうだ。商社マンで良いパパでもある柊志。しかし、美人OLのミチルに言い寄られ、柊志は家族が旅行で不在の際にミチルと関係を持ってしまう。それがきっかけで自分が妊娠したと思い込んだミチルは、徐々に柊志を追い詰めていき、最終的には柊志の家族をも巻き込む恐ろしい展開に発展するのだ。
当時、グラビアアイドルとして人気を誇り、可愛らしい存在感を放っていた雛形さん。しかしそのイメージとは一転、ドラマでは話の通じない女ストーカーを見事に演じていた。
実は妊娠していなかったことが発覚するシーンでは、周りの制止をつき飛ばし、絶叫しながら医師に物を投げつけるなど恐ろしい一面を見せている。ちなみに視聴率の良かった本ドラマは、当時雛形さんが出演していた『めちゃ×2イケてるッ!』でもパロディ作品として登場し、シリアスなドラマを爆笑に変えていたことを覚えている。
『ストーカー・誘う女』は、実社会でも起こりそうな展開が印象的だ。普段は良い夫、良いパパだったとしても、美人の若い女性に言い寄られてしまったら、つい油断してしまう男性もいるかもしれない。
また女性ストーカーの場合は妊娠を武器に相手に迫ったり、相手の妻に嫉妬をして脅しをかけるような行動もある。そんなミチルに恐怖を感じ、家族にバレないよう必死になって別れようとする柊志の姿はなんともリアルであった。
ストーカーはどこに潜んでいるか分からない。もちろん悪いのはストーカー行為を行う加害者であるが『ストーカー・誘う女』のように、ほんの出来心で自分の家族も巻き込まれるような恐ろしい体験につながることもあるのだ。今回紹介した2作品は、そんな警鐘を鳴らす意味でも価値のあるドラマだった。