■SNSでも話題を集めた平成の怖い絵本『たべてあげる』

 最後は、2011年と比較的最近に発売された『たべてあげる』(教育画劇)。可愛い絵と裏腹に物語はどんどん恐怖展開を迎えるとSNSを中心に話題になった一冊だ。

 主人公は好き嫌いの激しいりょうたくん。ある日彼の前に小さなりょうたくんが現れ、「たべてあげる」と嫌いな食べ物を食べだした。それ以来りょうたくんは、嫌いな食べ物が出る度に小さな自分に食べさせるようになる。

 いつの間にか嫌いなもの以外も食べ出した小さなりょうたくんは、ついに本物よりも大きくなった。そして「いやだ」と怖がるりょうたくんを「たべてあげる」と丸飲みし、乗っ取ってしまう。お母さんも入れ替わったことに気づかず、本物のりょうたくんはお腹の中で反省して涙を流すのだった。

 物語の怖さはもちろんのこと、目に光がない小さなりょうたくんの絵も非常に不気味で怖さを引き立てる。この絵本を読み聞かせれば、幼い子どもには「好き嫌いはいけない」という教訓が嫌というほど伝わるだろう。

 今も昔も怖い絵本というのは存在するが、伝えたいメッセージが強ければ強いほど恐怖描写も強烈で記憶に残りやすくなっている。とはいえ、文字通り“トラウマ”になってしまう子もいるので、様子を見つつ読み聞かせてあげてほしい。

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