■知れば知るほど魅力的な男・御剣
実はかなり複雑な過去の持ち主であることも、御剣を魅力的なキャラにしている理由のひとつだ。
御剣という人間に多大な影響を及ぼした事件をめぐる「逆転、そしてサヨナラ」(『逆転裁判(無印)』第4話)は、シリーズ屈指の名エピソードとして知られている。
印象的なシーンや名ゼリフも数多く、記憶を消してからもう一度プレイしたいと思ってしまうほどだ。まだプレイしていない人には、ぜひともネタバレなしで楽しんでいただきたい。
またこれはシリーズ全体を通して言えることだが、成歩堂と単なる「ライバル」という言葉で片付けられない関係にあるところも、なかなかにアツいポイントである。場合によっては共闘することもしばしばあり、立場は違えど、それぞれ「正義」や「真実」を追求する彼らの姿には思わず心が躍った。
さらに『逆転裁判3』第5話「華麗なる逆転」には、訳あって御剣視点のパートも登場している。彼の心のうちがモノローグとして描かれることで、その人となりがよりいっそう見えてくるのだ。
周りの発言に冷静なツッコミを入れていたり、かと思えばペースを乱されていたりと、素の姿が垣間見えてクスリとさせられてしまう。ファンとしてはたまらない演出だった。
もちろん、ストーリー上でも御剣はこれまで以上に重要な立ち位置にあり、初期の頃からは考えられないような活躍を見せる。いろいろな意味で激アツな、絶対に見逃せないエピソードだ。
今回はネタバレを避けつつ御剣の魅力を紹介してきたが、取り上げきれなかった小ネタももちろん数多くある。完璧エリートと思いきや意外にも人間臭い男・御剣の魅力、彼が主人公の『逆転検事』でも思う存分味わいたいところだ。