■黒ひげのモデルとなった海賊は相当な破天荒キャラ?

 現在は四皇のポジションについた“黒ひげ”こと、「マーシャル・D・ティーチ」。白ひげ海賊団の元船員だったが、唯一の禁忌“仲間殺し”を犯して逃亡した人物だ。そのモデルとなった実在の海賊は、1700年代にカリブ海を中心に暴れまわった「エドワード・ティーチ」(エドワード・サッチとも呼ばれる)である。

 ちなみにこの名から分かる通り、“白ひげ”こと「エドワード・ニューゲート」と、白ひげ海賊団の4番隊隊長の「サッチ」も彼の名前からとられている。

 エドワード・ティーチの容姿は特徴的で、肩幅が広く引き締まった体にコートを羽織り、いくつもの刀剣やピストルを装備。顔のまわりを覆うほどの豊かなひげには、煙を上げる導火線が編み込まれていたという。見たものを怯えさせる恐ろしい姿から“黒ひげ”と呼ばれるようになった人物だ。

 度重なる略奪行為や人質をとって町を脅すなど悪名を轟かせたが、酔いつぶれていたところをイギリス海軍に襲撃され、力及ばず生涯を閉じた。黒ひげの死後、討伐の印として海軍の船首に首を晒されたという話もある。

 そんな彼の姿は、実は『ワンピース』のみならず、さまざまな作品の「海賊」のイメージに反映されている。ジョニー・デップ主演の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』もそのひとつ。“カリブの海賊”と聞けば、多くの人が想像するであろうイメージの元となった人物なのだ。

 また、彼が実際に乗っていた「アン女王の復讐号」らしき船が、1996年にノースカロライナ沖で発見されている。引き上げ作業や学者たちによる遺品の研究が進められているとのことで、今後新たな事実が明らかになるかもしれない。

 そのほか、トラファルガー・ロー(エドワード・ロー)、ユースタス・キッド(ウィリアム・キッド)、ジュエリー・ボニー(アン・ボニー)など、“超新星”の多くも実在の海賊から名前をとったことを尾田氏は明かしている。

 実際にモデルとなった海賊を調べてみると、『ワンピース』のキャラクターのイメージと共通する部分もあれば、かけ離れたところも多い。どのくらいキャラ設定に反映したのかは作者の尾田氏にしか分からないが、もしかするとモデルとなった海賊に意外なヒントが隠されているかもしれない。

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