ゾロ、アルビダ、黒ひげ…『ONE PIECE』キャラのモデルとなった「実在海賊」の生き様は漫画以上にドラマチック?の画像
DVD「ONE PIECE Log Collection“WANOKUNI”」(エイベックス・ピクチャーズ)

「海賊王におれはなる!!!」のセリフでおなじみの人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)には、ルフィの言葉の通り、数多くの“海賊”たちが登場する。

 その中には、実在した海賊をモデルに生まれたキャラクターも存在している。そのことをコミックスに収録されたSBS(質問を募集するのだ)のコーナー内で、作者の尾田栄一郎氏もたびたび言及してきた。

 そこで本記事では、SBSで尾田先生が実在の海賊がモデルだと明かした3名について紹介。海賊史に記録を残した有名海賊たちは、もしかすると漫画のキャラよりも数奇な人生を歩んだのかもしれない。

■ゾロのモデルとなった海賊は、真反対の性格?

 麦わらの一味の船員「ロロノア・ゾロ」は、世界一の大剣豪を目指す三刀流の使い手。主人公モンキー・D・ルフィの右腕的な立ち位置で、麦わらの一味を支える頼もしい存在だ。クールに見えるが義に厚く、意外と人情派なところもあり、極悪な海賊というより義賊的な人物と言える。

 そんな彼のモデルとなった海賊は、1600年代後半にカリブ海を中心に活動した「フランシス・ロロノア」(フランソワ・ロロネー、ロロノワ、ロロナなどと表記されることも)だ。ロロノアは「カットラス」と呼ばれる片手刀で戦ったとされ、剣士という点ではゾロと共通している。

 しかし、実在したロロノアは、残忍かつ冷酷な人物だったようで、常軌を逸したおぞましいエピソードが数多く語り継がれている。そのあたりゾロの義賊的なイメージとは、かけ離れた海賊だったようだ。

 そんなロロノアは、自身も悲惨な最期を遂げている。座礁して上陸した島で原住民に捕らえられ、無惨なかたちで火あぶりにされてしまったという。ある意味、因果応報とも言える最期だったのかもしれない。

■実在した海賊アルビダの人生は波乱万丈!

 海賊になったルフィにとって、最初の敵となったのが女海賊「アルビダ」だ。初登場時のアルビダは、かなり格幅の良い体格をしていて、ルフィは「いかついオバサン」と評していた。自分自身を「世界一美しい」と信じ込み、船員にもなかば強制的に賛辞の言葉を言わせるなど、美への執着を見せた人物だ。

 しかしルフィに敗れた後、「スベスベの実」を食べたことで、誰もが振り返るような絶世の美女へと変貌を遂げている。

 その彼女のモデルとなったのは、同名の女海賊「アルビダ」(アビルダ、アルビルダと表記されることもある)。バルト海を中心に活動した彼女は、元々はスカンディナヴィアの王女で、位の高い人物だったそうだが、政略結婚から逃れるために船出するという思い切った行動に出た。抑圧から逃れるために旅立ちを決断するという展開は、『ワンピース』キャラにも多いパターンだ。

 女性ながら船長にまでのぼりつめたアルビダだが、海賊退治の名目で政略結婚の相手となるはずだった皇太子が送り込まれる。するとアルビダは、彼の勇敢さを気に入り、結局彼との結婚に踏み切るというドラマチックな人生を送った。まさにロマンス映画のような衝撃展開である。

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