連日、熱い戦いが繰り広げられているパリ五輪。選手たちの熱戦を見逃すまいと、寝不足続きの人も多いのではないだろうか。
世界中のアスリートが夢を追い、栄光を目指す祭典・オリンピック。感動の物語が生まれるこの舞台は、しばしばスポーツ漫画のテーマとして選ばれることがある。
そこで今回は、オリンピックを舞台にしたスポーツ漫画をまとめて紹介していきたい。そこには主人公となる選手たちの熱い思いや挫折と栄光の物語が詰まっており、現実のオリンピックにも負けない激闘が描かれていた。
■ソウル五輪、バルセロナ五輪が舞台となった女性ヒロイン初の柔道漫画『YAWARA!』
混合団体でも銀メダルを獲り、パリ五輪では合計8個のメダルを獲得した日本柔道。その柔道をテーマとしたスポーツ漫画が、浦沢直樹さん原作の『YAWARA!』だ。
本作は、女子柔道が公開競技となったソウル大会より前の1986年から『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載がスタートした。幼いころから英才教育を受けた天才柔道家でありながら、普通の女の子でいたいというヒロイン・猪熊柔の葛藤や活躍を描いた人気作品だ。
作中、猪熊柔は1988年ソウルオリンピック(アニメではソウルワールドカップ)の無差別級、1992年バルセロナオリンピックの48kg以下級・無差別級に出場し、オール一本勝ちという無類の強さで3つの金メダルを獲得。そして、祖父・猪熊滋悟郎の念願であった「国民栄誉賞」を受賞した。
並み居る強豪ライバルたちを圧巻の一本背負いで投げ飛ばしていく柔の姿には、勇気と感動をもらえる。
ちなみに1989年からは『YAWARA! a fashionable judo girl!』というタイトルで、テレビアニメ化もされた本作。オシャレなオープニング・エンディングも非常に懐かしい。
■金メダリスト原作…シドニー五輪を舞台にした体操漫画『ガンバ!Fly high』
『ガンバ!Fly high』は、『週刊少年サンデー』(小学館)にて、1994年から2000年まで連載された体操漫画だ。原作は、1984年のロサンゼルス五輪体操競技、種目別・鉄棒で金メダルを獲得した森末慎二さんが、作画は菊田洋之さんがそれぞれ担当している。そして、1996年からは『ガンバリスト! 駿』というタイトルでテレビアニメ化もされ、全30話が放送された。
本作は、中学1年生で逆上がりすらできなかった主人公・藤巻駿が「オリンピックで金メダル」を夢に体操部に入部し、練習を重ね次第に才能を開花させていく成長物語だ。
そして、シドニーオリンピックの舞台に立った駿は、伸身ゲイロード1回ひねりするオリジナル技「フジマキ2」を編み出し、さらに現実の試合ではまず見ることがない「四回宙返り下り」を成功させ、団体金メダルに加え、個人でも種目別鉄棒で金メダルを見事獲得している。
パリ五輪では団体総合の金メダルをはじめ、個人でも岡慎之助選手などが大躍進を見せた日本体操。しかし、『ガンバ!Fly high』連載当時は、体操の競技人口が減った低迷期であった。本作は、その人気によって、現在の日本体操復活に一役買った作品でもあるといえるだろう。