■おどろおどろしいたたずまいに冒険者もたじたじ? 現実準拠編
ゲームのなかではみずみずしく柔らかい固形の肉体を持っているイメージが強いスライムだが、そもそも「スライム」という言葉には“粘りのある液状のもの”という意味がある。
子どもたちが遊ぶ玩具として発売された『スライム』もまさにそういった形状だったが、こういった現実に存在するスライムをそのままモンスターの容姿として採用した作品も登場している。
不定形の肉体を持つモンスターとしてスライムを登場させたのは、1987年にファミコン版が発売された『ウィザードリィ』だ。本作でのスライム(バブリースライム)は泡立つ粘液状の怪物で、顔のような器官は見受けられず、その姿はかなり不気味だ。
しかし、本作においても、その強さはやはり“ザコキャラ”といわざるをえない。危険な攻撃も仕掛けてこないことから、物理攻撃のみで十分に撃破することができるため、立ち位置としてはほかのRPG作品同様といえるだろう。
ゲームのザコキャラとして有名なスライムだが、あらためて見てみると作品ごとにデザインの方向性や立ち位置に絶妙な違いがあるのは興味深い点だろう。シンプルな存在ゆえ、デザイナーたちの手腕が光る彼らのディテールに、ぜひとも注目してみてほしい。