『ドラゴンクエスト』に『ドルアーガの塔』、『ウィザードリィ』にも登場…見た目も能力も多種多様!ファミコン時代の「スライム」を比較してみたの画像
スクウェア・エニックス『ドラゴンクエスト』クリスタルモンスターズギャラリー スライム (c) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX

 RPG作品における“ザコ敵”の代表格として有名な「スライム」。作品によってその表現方法は千差万別だ。

 もともと「スライム」は、ファンタジー小説などによく登場していたモンスターで、物理攻撃が通用しない難敵として描かれることも多かった。その後、ゲームキャラに採用されるようになり、スライムは多彩な進化を遂げる。そしてさまざまな場所、ざまざまな姿、さまざまな能力で、プレイヤーに襲い掛かってきたわけだ。

 特にファミコン時代のゲームでは、スライムと対決する機会が多かった。今回は、見た目も強さも多種多様なファミコン時代のスライムたちを比較してみたい。

■スライムといえば、やっぱりこのデザイン! 『ドラゴンクエスト』

「スライム」といえば、まず真っ先に『ドラゴンクエスト』を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。

 1986年に登場した初代『ドラゴンクエスト』は、昨今におけるRPG人気の礎を築いた伝説的な作品で、いまもなおシリーズの続編が展開され続けている。

 本作におけるスライムは、ゲーム開始直後にプレイヤーが戦うこととなるいわば最弱の敵キャラクターだ。雫型の青い体に丸い目、にっこりと笑った大きい口が特徴的で、その愛くるしい姿から『ドラクエ』シリーズの顔となっている。

 しかし実はこの可愛らしいスライムのビジュアルは、原案のイメージとかなりかけ離れたものであることをご存じだろうか。

 本作に登場するキャラクターの多くは、シナリオを手掛けた堀井雄二さんのラフ画を元に生み出されている。だが、この段階でスライムは、顔すら持っていないドロドロの“ゼリー”のような存在として描かれていた。

 しかし、この設定画を受け取り、今の愛くるしいビジュアルに昇華させたのが、本作のキャラクターデザインを担当していた漫画家・鳥山明さんだ。

 ご存じ、『ドラゴンボール』などで有名な漫画界のレジェンド的存在の鳥山さん。主人公に立ちはだかる敵キャラクターを、シンプルなデザインかつ、よりプレイヤーが親しみやすい存在へと生まれ変わらせたのである。

 結果『ドラクエ』シリーズにおけるスライムはファンの心を強く惹きつける存在となり、色違いはもちろん、さまざまな派生キャラクターも登場することなった。

 誰しもがたやすく撃破するザコキャラでありながら、そこに見た者を魅了する愛くるしさを持たせてしまう点に、巨匠・鳥山さんの凄まじいセンスを感じざるをえない。

■レベル上げのお供には欠かせない存在…シンプルデザイン編

 『ドラクエ』シリーズのみならず、数多くのRPG作品に敵キャラクターとして登場するスライムだが、やはりそのデザインは比較的シンプルなものが多い。

 1985年に発売されたアクションRPG『ドルアーガの塔』に登場するスライムは、目や口といった器官もなさそうな、つるつるの“グミ”のような存在として描かれている。

 基本的にはザコキャラとして序盤から立ちはだかるのだが、ゲームが進むに従い、色違いのものがどんどん登場し、なかには魔法攻撃を仕掛けてくるなど一筋縄ではいかない個体もいる。

 また、1986年に発売された『ハイドライド・スペシャル』にも敵キャラクターとしてスライムが登場している。

 こちらはかなりシンプルなデザインで、水色をした細長い“ソラマメ”のような姿でくねくねと体を揺らしフィールドを徘徊している。

 序盤はレベル上げのお供として数多く撃破することになるため、操作に慣れる意味でも初心者にはうってつけの相手だろう。とはいえ、レベル5以上で倒すと、より強力な“ローパー”に変化するなど、思いがけないギミックが仕込まれているので要注意だ。

 いずれの作品も無機質かつシンプルなデザインのみならず、序盤に戦うザコキャラ、色やデザインの変化した別個体の存在など、設定面でも共通点が見えるのは面白い点だ。

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