■映画も大ヒット!『名探偵コナン』灰原哀

 毒薬を飲まされ小さくなった高校生探偵・工藤新一が、江戸川コナンを名乗って様々な難事件を解決するミステリー漫画の金字塔『名探偵コナン』。主人公のコナンやヒロインの毛利蘭ら主要メンバーから警察関係者、黒ずくめ組織、犯人に至るまで登場人物が非常に多い作品だが、その中でも高い人気を誇っているのが灰原哀だ。

 彼女は元黒ずくめの組織・シェリーこと宮野志保で、コナンを小さくした毒薬の開発者。大切な姉を殺されたことで組織を裏切り、服毒自殺のために毒薬を飲むも体が小さくなって一命を取り留め、以来阿笠博士の元で灰原哀として暮らすことになった。

 本来は18歳と若いのだが、普通の女子高生である蘭たちとは違い、重く壮絶な人生を送ってきた灰原にはどこか影がある。“悲しみを抱えながらも気丈に生きる少女”というのは人の心に響くもので、コナンや少年探偵団との関わりの中でやわらかい表情や子どもらしい態度を見せるようになると、あまりの可愛さに心を掴まれる人が続出した。 

 コナンに対して見せるほのかな恋心や嫉妬心も、ファンにはたまらないポイントだろう。普段はツン多めの灰原が、たまにデレる表情にグッと来たという声は多い。特に、アニメで声優を務める林原めぐみさんのツンデレ灰原は秀逸だ。

 そんな灰原は人気投票では常に上位をキープしており、2012年に『週刊少年サンデー』で行われた連載800回記念の人気投票では、コナンと怪盗キッドに次ぐ3位(女子では1位)を獲得。2014年に金曜ロードショーの「名探偵コナンまつり」で行われた人気投票では、蘭・新一を抑えて1位に輝いた。

 その後も人気は衰えることを知らず、2021年の『名探偵コナン 緋色の弾丸』公開記念人気投票でも赤井秀一・安室透に続く3位(女子では1位)を獲得。2023年には灰原にフォーカスした映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』やテレビシリーズの特別編集版『名探偵コナン 灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン』が劇場公開されている。

 今回紹介したキャラたちのように、注目を集める脇役は主人公やヒロインと対照的な性格であることが多い。違いが大きいからこそそれぞれの個性が輝き、双方の魅力が引き立つのだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3