「ガンダムか? それともガンダムじゃないのか?」。機体に関するこの問題は、ガンダムファンの間でもたびたび議論されるテーマだ。
アムロ・レイが乗った「RX-78-2」から始まった「ガンダム」というモビルスーツ(MS)は、シリーズを象徴する機体となった。
その一方でシリーズを重ね、多種多様な作品が生まれていく中で、「ガンダムだけど、一見ガンダムには見えない」機体や、逆に「ガンダムに見えるのに、実はガンダムじゃない」機体などが登場。パッと見では判断しにくいMSも現れるようになる。
そこで今回は、見た目では「ガンダムか」「ガンダムじゃないのか」分かりづらかったMSを紹介していこう。
■現地仕様に大規模改修した『ガンダムEz8』
まずは、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場した「Ez8」だ。Ez8は、主人公シロー・アマダ少尉が乗っていた陸戦型ガンダムが中破したことにより、現地仕様に大規模改修された機体である。
劇中でEz8はノリス・パッカードのグフカスタムと激しい市街地戦を繰り広げた。さらにクライマックスでアプサラスIIIに特攻をかけたシーンも印象深い。
そのEz8は、改修前の陸戦型ガンダムにあったガンダムのシンボルとも言えるV型アンテナが取り払われ、ロッドアンテナを採用。ツインアイは健在なので、かろうじてガンダムだと分かるが、現地調達したジャンクパーツを用いて補修・改修が行われたことで、ビジュアル的にはかなりガンダムらしさが失われていた。
飾り気のない非常にシンプルなオフホワイトの外装、被弾での損傷や異物の侵入を防ぐための大型のチンガードの増設など、質実剛健で無骨な印象を受ける。
また、僚友のカレン・ジョシュワが乗る陸戦型ガンダムも、頭部が破壊された際に正規のパーツがなかったために陸戦型ジムの頭部を代用して修復(陸戦型ガンダム ジムヘッド)。友軍から「ジム頭」と呼ばれ、からかわれる場面もあった。
このようにEz8やジムヘッドは現地改修されたことにより、ガンダムらしくない見た目になってしまったが、ベースはどちらも陸戦型ガンダムである。
■見た目でジオン兵をビビらせる『ガンダム・ヘッド』
先ほど「ジムヘッド」に触れたが、長いシリーズの中にはその逆パターンも存在する。それが『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場した「ガンダム・ヘッド」と呼ばれる機体だ。
ガンダム・ヘッドの形式番号は「RGM-79/GH」。要するに、一年戦争時、地球連邦軍の主力機だったジムの頭部だけを、ガンダムタイプに見えるように変更した機体である。額にはV型アンテナの代わりに、地球連邦軍のエンブレムがペイントされていた。
「ガンダム」の定義を“見た目”とするならばガンダム・ヘッドはガンダムに近いが、形式番号が示す通り、頭部以外のベースはジムなので、ガンダムではないと考えるのが自然だろう。
アムロの活躍もあり、ジオン公国軍にとって脅威のシンボルとなったガンダムの影響力を利用するというコンセプトから生まれたMSだ。要はガンダムの見た目を装って、ジオン兵をビビらせるのが狙いではあるが、ジオン兵にとっても、我々ファンにとっても非常に紛らわしい機体である。
ちなみにアムロのガンダムは単騎で戦うイメージが強かったが、ア・バオア・クー戦にて登場したガンダム・ヘッドは、小隊を組んでア・バオア・クー内部に突入。2枚のシールドを装備して守備を固め、親衛隊所属のザクIIを数の力でせん滅していた。その堅実な集団戦は、やはりジムだと思わせる立ち回りだった。