■原点にして頂点だった見事な配役

 最後は、『金田一少年の事件簿』を振り返りたい。1992年に『週刊少年マガジン』で始まった同漫画はたちまち看板作品へと成長を遂げ、シリーズ累計発行部数1億部を超える大ヒットを記録。2023年からは、大人になった金田一を描いた続編『金田一37歳の事件簿』が『イブニング』で連載中だ。

 実写化も盛んで、1995年から2022年までの間に日本テレビ系列で5シリーズのドラマが制作・放送されてきた。どのシリーズもその時々の人気だったアイドルが複数出演しており、ある意味、登竜門的な作品になっている。 

 そんな金田一実写化の原点にして頂点だったのが、堂本剛さん演じる初代金田一一だ。この作品で、「堂本剛=金田一一」というイメージを持った視聴者は多いはず。

 原作の金田一といえば長髪を後ろで束ねたヘアスタイルだが、堂本さんバージョンは短髪で、外見は全くと言っていいくらい似ていない。にも関わらず、キャラは原作そのものと言っても過言ではないほどハマっていた。 

 その理由の一つが、内面の再現度の高さだろう。堂本さん演じる金田一とともさかりえさん演じる七瀬美雪や古尾谷雅人さん演じる剣持警部とのコミカルなやりとり、犯人を追い詰める際のシリアスさのギャップは原作さながらで、多くの視聴者が惹き込まれたものだ。

 さらにストーリーのテンポの良さ、堤幸彦監督による恐怖心を煽る斬新な殺人描写など様々な要因が加わり作品は大ヒット。最高視聴率に至っては29.9%という驚異の数字を記録した。

 漫画の実写化作品は多いが、「シリーズ化」となるとその数は格段に少なくなる。そんな中、今回紹介した作品のように数回にわたって実写化し、その都度成功しているのは良作の証だろう。DVD化されておらず今ではもう見ることのできない初代作も多いが、チャンスがあれば別シリーズと見比べてみたい。

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