“若手俳優の登竜門”と呼ばれて久しい『仮面ライダー』シリーズ。現在、大ブレイク中のイケメン俳優である赤楚衛二さんは『仮面ライダービルド』、高橋文哉さんは『仮面ライダーゼロワン』に出演しており、いまやライダー出身の人気俳優は数多い。
2007年に放送した『仮面ライダー電王』はその代表格で、一世を風靡する俳優や女優が何人も出演している。平成仮面ライダーシリーズでも人気ナンバーワンの呼び声高い本作には、どんなメンバーが集結していたのか。
今回は、いま振り返ると「豪華すぎる!」と言いたくなる『仮面ライダー電王』の出演者を見ていこう。
■佐藤健…初主演は1人5役の主人公役
まずは国内トップクラスの俳優として名高い佐藤健さんだ。映画『るろうに剣心』やNHK連続テレビ小説『半分、青い。』など話題作で知られる佐藤さんだが、その初主演作が『仮面ライダー電王』なのは有名な話だろう。
仮面ライダー電王に変身する主人公・野上良太郎を演じた当時、佐藤さんはまだ17歳。まだ高校生にもかかわらず自然な演技と小気味いいアクションを両立させ、国民的俳優の片鱗をすでに見せつけていた。
とくに際立っていたのは、ファンから「1人5役」と称えられた驚異の演技力だ。『電王』には「イマジン」と呼ばれる怪人が登場し、主人公の良太郎は4人のイマジンを自分に憑依させて仮面ライダーに変身する設定である。
そのため佐藤さんは「素の良太郎」と「イマジンに乗っ取られた良太郎」をシーンごとに切り替える必要があった。陽気な暴れん坊やクールな伊達男など多彩な“良太郎”を完璧に演じ分けた佐藤さんの演技力は、今でもライダーファンの間で語り草だ。
■松本若菜…デビューは主人公の良き姉
7月9日からスタートしたドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)で主演を務める人気女優・松本若菜さんは、22歳のとき『仮面ライダー電王』で良太郎の姉・野上愛理役として女優デビューを果たしている。
愛理は喫茶店「ミルクディッパー」の店主として野上家を切り盛りする女性で、おっとりとした性格で常連客から人気が高いキャラだ。ときにはマイペースなボケで視聴者を笑わせ、ときには弟の良太郎を姉として優しく見守る母性を発揮する……複数の魅力を持つ愛理を、松本さんは丁寧に演じていた。その安定感たるや、とてもドラマ初出演の女優とは思えない、貫禄のようなものを感じさせるほどだった。
とはいえ、松本さん本人にとって『仮面ライダー電王』の現場は決して楽なものではなかったという。2022年のインタビューではベテランだらけの撮影現場に「本当に右も左もわからなかった」と回想しており、当時高校生だった佐藤さんにもよく助けられていたと明かしていた。