■『だれかのまなざし』は『言の葉の庭』と同時上映!

 いまやヒットメーカーとなった新海誠監督。そんな新海監督の『君の名は。』以前の名作として知られているのが、2013年に公開された『言の葉の庭』である。

 本作は、『だれかのまなざし』という作品が同時上映された。これは6分40秒のショートムービーで、家族の愛を描いたあたたかみのある作品となっている。就職をきっかけにひとり暮らしを始めた女性・あーちゃんとその父の物語が、猫のミーさんの視点で展開されていく。『言の葉の庭』に出てくるのと同じ場所が描かれるシーンがあるのも、ファンにとっては嬉しいポイントである。

 この『だれかのまなざし』はショートストーリーであるにもかかわらず、新海氏の魅力がたっぷりと詰まっている。彼の真骨頂である作画の美しさはもちろん、一匹の猫を主軸に家族の移り変わりを描くストーリーも感動の仕上がりだった。

■『ドラえもん』の伝説の短編映画『ザ☆ドラえもんズ』

『ドラえもん』の初期の映画には、同時上映の作品がつきものだった。1980年代には『怪物くん』や『忍者ハットリくん』など他作品との同時上映だったが、1989年の『映画ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』を皮切りに、1990年代には徐々に『ドラえもん』の短編映画が上映されるようになったのだ。

 その中でも爆発的な人気を得たのが、『ザ☆ドラえもんズ』シリーズである。本作はドラえもんが22世紀の6体の猫型ロボットたちと奮闘する短編映画だ。アメリカ風のドラ・ザ・キッド、中国風の王ドラなど、ドラえもんズは世界各国をモチーフとしており、ビジュアルも性格も多種多様。彼らがドタバタ劇を繰り広げる姿はほほえましく、観ていると楽しい気分になったものだ。

 個性豊かな7体の猫型ロボットたちは当時の子どもたちを魅了し、グッズ販売もさかんにおこなわれたほどだった。その可愛さとチームワークの良さで、『ザ☆ドラえもんズ』は90年代後半のドラえもん映画には欠かせない存在となったのである。

 

 今回は本編と同時上映された「劇場用短編映画アニメ」について振り返ってきた。1990年代頃には多くの作品があったが、最近では見る機会が少なくなっている。それもあってピカチュウの短編シリーズや『ザ☆ドラえもんズ』シリーズの名前を聞くだけで、つい懐かしい気持ちになってしまう。

 1980年代から2000年代に子どもだった人は、短編映画にもさまざまな思い出が残っているだろう。そんな懐かしい作品を見て童心に戻ってみるのもいいかもしれない。

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